加藤じろう直営!「語りべ」通信
 
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2011.06.16
17年目で手にした栄光
日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。

NHLのチャンピオンを決める「スタンレーカップ ファイナル」は、
昨夜(現地時間)第7戦が行なわれ、
バンクーバー カナックスを 4-0 で下した ボストン ブルーインズが、
8ヶ月余りに及ぶ激しい戦いを制して、30チームの頂点に立ちました!



今季のファイナルの戦いを振り返ると、
いきなり2連敗したボストンは、その後、地元に戻って2連勝したものの、
先日の記事で お伝えしたとおり、第5戦に敗れて土俵際へ…。

しかし、再び地元に戻って、第6戦を 5-2で。
そして、バンクーバーに乗り込んでの最終戦では、完封勝利。

NHLのプレーオフ史上初めて、
第7戦まで及んだシリーズを、3度も競り勝ったことに加えて、
2連敗スタートとなった過去8回のファイナルは、全て敗れていた不吉なデータ も打ち砕いて、
39年ぶり6度目のスタンレーカップを、勝ち取りました!

    


プレーオフの MVPにあたる コンスマイス トロフィーを受賞したのは、
ボストンの GK ティム ・トーマス 選手!



トーマス選手は、カンファレンス クォーターファイナル(ファーストラウンド)から数えて、
全25試合を一人で守り続け、最多記録を更新する849本ものシュートを浴びながら、
平均失点 1.98。セーブ率 9割4分4完封勝利

特にファイナルでは、勝利した4試合は、いずれもファーストスターに!
また敗れた試合でも、必ずスリースターに選出されたほどの、圧倒的な存在感を披露

リーグトップの攻撃力を誇った “最強チーム”の前に立ちはだかり、
9割6分7厘 という驚異的なセーブ率をマークし、
「バンクーバー キラー」 の異名は、ダテではないところを証明してみせました。


ダテではないと言えば、「あなたのヒーローだった選手は?」 という質問に対して、
ファイティングを十八番にしていた、マイナーリーグの選手 の名前を挙げていたトーマス選手。

ヒーローに負けじと(?)、レギュラーシーズンには、ファイトを繰り広げたシーン もありましたけれど、、、
クライマックスとなる戦いでは、最高のパフォーマンスを見せてくれましたね。



そんなトーマス選手に関する この数字 → 「17年目」

これが何の数字か、分かりますか?
実は、トーマス選手がドラフト指名されてからの年数 なのです! 


トーマス選手が、NHLのチームにドラフトされたのは、まだ20歳だった1994年のこと。

コロラドへ移転する前年のケベック ノルディックスから、指名を受けたのですが、
ファイナルで対戦したバンクーバーの ロベルト ・ルオンゴ 選手が、
全体4番目という高い評価を受けたのとは対照的に、217番目の指名…。

当時、バーモント大学に在籍していたトーマス選手は、ケベックとの契約には至らず、
卒業後の1997年に、北米のマイナーリーグで、プロとしての第一歩を刻み始めると、
ほどなくしてからフィンランドへ渡り、トップリーグの IFKヘルシンキ の一員に。

慣れない環境にもかかわらず、トーマス選手は実力を発揮して、正GKの座をつかむと、
プレーオフに入ってからは9戦全勝という見事な働きで、チームを優勝へ導きました。


その活躍が評価され、
その年のオフには、エドモントン オイラーズとFA(フリーエージェント)契約。

とはいえ、正GKの座を保障されていたわけではなく、
その後も、トーマス選手は、北米のマイナーリーグと、
フィンランドやスウェーデンのトップリーグを渡り歩く “ジャーニーマン” の日々。

2001年の開幕を控えた秋に、今度はボストンとFA契約を結び、
その翌年、ようやく28歳で、NHLデビューを飾ったものの、
マスクを被ったのは4試合だけ。
シーズンの大半は、AHL(アメリカンホッケーリーグ)でのプレーを強いられました。


そんなトーマス選手の転機は、
NHLの労使交渉決裂によるシーズンキャンセルとなった2004-05シーズン。

またまたフィンランドへ渡り、ヨケリト ヘルシンキでプレーしたトーマス選手は、リーグMVPを受賞。

シーズンキャンセルとなったため、
NHLの主力選手が、数多くやってきた中でのMVP受賞を、高く評価したボストンは、
2005年の秋に、再びFA契約。

これが最後のチャンス! とばかりに奮起したトーマス選手は、
31歳でNHL初完封を達成したのに続き、翌年は、66試合に出場。
ようやくプロ10年目になって、初めてマイナーリーグに降格することなく、シーズンを過ごしました。


しかしながら、当時のボストンは低迷期だった上、
トーマス選手にも、よく好不調の波が見られ、
(近年のボストン戦を見た方は、信じられないかもしれませんけれど)空席の目立つスタンドに、
ヤジが響き渡っていた試合も。。。

ただ、その後、チーム力のアップと足並みを揃えるかのように、トーマス選手も安定感を増し、
一昨季には、ベジナトロフィー(最優秀GK賞)を獲得!

ところが昨季は、13歳年下の トゥッカ ・ラスク 選手に、メインマスクを奪われ、
プレーオフでは、1試合も声が掛からずじまい… と、
まさに、山あり谷ありのキャリアを、歩み続けてきました。


「もしもホッケー選手でなかったら? 
よく分からないけれど、自動車のセールスマンか、学校の先生かもね」

トーマス選手は、こう話していたことがありましたが、
これまでのキャリアの中のどこかで、少しでも心が折れてしまっていたら、
今頃は、どこかの自動車ディラーで働いていたり、生徒を前に授業をしていたのかもしれません。


「(試合の)前日と当日は、とてもナーバスになっていたし、怯えてしまってもいた」

こう言いながらも、雌雄を決する最後の試合で、最高の結果を残すことができたのは、
これまでの全ての経験が、何よりの力となったに違いないはず。


  「史上最年長でのコンスマイス トロフィー受賞!」


この言葉こそが、ドラフト指名されてから、“17年目で手にした栄光” を称える、
37歳のトーマス選手への最高の評価だと言えるでしょう。



★本日の小ネタは…

ボストンの選手と、ファンが美酒に酔う傍らで、
初めてのスタンレーカップ獲得! の夢が、ついえてしまったバンクーバーのファンは、、、

   

これまでにも紹介しましたが、熱いことで知られるバンクーバーのファンたちは、
シャレにならない状況に、なってしまったようですね…(苦笑)


もっとも今季は、レギュラーシーズンでナンバーワンの成績を残したことから、本命視されていた上に、
カナダでオリンピックを開催した都市をホームとするNHLチームは、
モントリオール、カルガリーとも、オリンピックの翌年に、スタンレーカップを手にしてきた
とあっては、
今季のチャンピオンはバンクーバーだ! と現地のファンは信じて疑わなかったはず。

しかし、以前の記事でお伝えしたとおり、
モントリオールとカルガリーでは、金メダルがゼロだったのに対して、
バンクーバーでは、参加国中トップとなる14個もの金メダルを獲得しただけに、
もしかしたら、必勝神話は尽きてしまったのか?

はたまた、バンクーバーの勝ち運を、この選手 に全部奪われてしまったのかも???


NHL | comments(11) | trackbacks(0)
2017.11.18
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この記事に関するコメント
じろうさん、こんばんは!

昨年のバンクーバー五輪を機に、ケーブルTVのデジタルサービスに加入しました。せっかくだからと、スタンリーカップファイナルを見始めて、二年目です (^_^;

もう誰が見ても、トーマス選手が MVPですよね。ファイナルで、2試合シャットアウトなんて、かっこよすぎます。

第六戦は、1ピリ終わった時点で、疲れていたので寝てしまいました (^_^;

そして、今日の第七戦。先取点がカギだなと思っていたら、そのとおりでした。
カナックスは、ホーム戦で見せてきた粘りが今日は見られず、
ちょっと残念でした。

また、来シーズン、楽しみにしたいと思います。
じろうさんの新着情報、期待しております。

| wani | 2011/06/16 21:56 |
個人的には、もしVANが優勝したとしてもMVPはトーマス選手だと思っていました。アウェイでの失点数が違いすぎです。

あとトーマス選手はどちらかと言えば怒りっぽい方なのでは?と思いますが、VANの選手の度重なるチェックにも耐えて自分のプレーを貫いたのは凄いと思いました。

しかしバンクーバーの方々も凄すぎ。こんな方々なので選手たちは萎縮しちゃったとか。特にルオンゴ選手は…。
| くま三郎 | 2011/06/16 22:52 |
じろうさん、こんばんは。
カナックス負けてしまいましたね。ご縁のあるチーム(と勝手に思っている)なので残念です。
バンクーバーはやはり激アツですねっ!さすが、ホッケー大国!いつも思います、バンクーバーで暮らせたらどんなに幸せか・・・(笑)
トーマス選手もすごいですね、レッキ選手といい、おじさんの存在感!すばらしいです!
今回のプレーオフは、新鮮な対戦カードで楽しむことができました!
ホッケーシーズンも終わり、さびしい季節になりますが、夏カゼ、夏バテなどしないよう、ご自愛ください。

| BRASHEARKEI | 2011/06/17 00:02 |
じろうさん、すばらしい記事、人間ティム・トーマスのものがたりをありがとうございました!「七転び八起き」ですね。それにいわれてみれば昨年はラスク選手に隠れてしまってましたね。それでも”心折れなかった”ことが強靭な精神力を培って、この並外れた「安定感」、遅咲きの栄光と、このシブイ、何ともいえないイイ表情につながってきたのですね。。。自分よりずっと若いですがリスペクトの念を抱かざるをえませんです。

VAN市民の暴動は気持ちはわかるとしても、いただけないですね〜明日を担うこどもたちの教育上も!ルオンゴ選手が悪いわけでもないし(スコアレスでは!!!)、個人的には五輪の際に、勝利の女神はVANの地というより選手達とくにイギンラ選手とやっぱし”シドキッド”を祝福してた気がつくづくいたしまする。。。
| デンじい | 2011/06/17 06:13 |
じろうさん、こんにちは。終わってしまいましたね。(>_<)
第6戦序盤でゴール裏からのパスが弾んでヘンリクのスティックにヒットせずシュートにならなかったのと同じようなことが7戦でもあり、ホッケーの神様は「まだまだ修行が足りない」と言われてるのかな、と思うしかないですね。

カナックスの選手、プレッシャーのせいか、特にDFの動きが鈍く見えました。FWもHITも弱くハードに動いているとはいえない感じでした。
AZでパスを左右にふってトーマスを動かさないと得点は望めない中、そういうことも出来ずじまい。これはボストンDF等の守りがうまかったんでしょうね。
2年前のPENSのように、来シーズン頑張ってファイナルに進出してカップを掲げてほしいです。

今シーズンはカンファレンスチャンピオンのグッズ購入で我慢です。

PS、タンパが優勝した時のアンドレイチャックや、今回のトーマスのようなベテランが頑張ってカップを獲るのは、感動ものですね。
| NON | 2011/06/17 10:11 |
ブルーインズ やりましたね。39年ぶりですか。 6戦目まではホームチームが勝ち、ボストンホームでは得点差が開く展開で、ヴァンクーバーホームでは接戦が多く、最終戦はアウェーチームの勝ちもあるかと思ったらやってくれましたね。

トーマス選手を含む#33を筆頭とする守備陣も安定してたように思えました。

| truill | 2011/06/17 23:56 |
初めして。
バンクーバー市民として、日本のホッケーファンの皆様に今回の暴動を興したのは真のカナックスファンではない事を知って頂きたいと思います。今回は警察によるアルコールチェックなどがなく、最初から試合の勝ち負け関係なく暴れるつもりでダウンタウンにきていた暴徒達が興したものです。ファンであれば石を持ってきたり、顔に巻くバンダナを前持って用意してません。現に多くのバンクーバー市民はこの事を恥ずかしく、くやしく思っており、Facebookで仲間を集い翌日は沢山の市民ボランティアが市内の掃除、修理をし
ました。自分達の街の評判を落とし、汚した暴徒は本当に許せません。カナックスが負けて街全体が悔しく悲しかったなは事実ですが、カナックスファンはこんな狂った事をわが町にしない事だけは日本の皆様に分かって頂きたいです。
| バンクーバー市民 | 2011/06/18 08:09 |
ティム・トーマスは昨年から、マスクケージを
キャッツアイから、大きめの格子のケージに変えてますね
メーカーはあまり日本ではなじみのない
スポーツマスクというメーカー製です
http://www.sportmask.com/

実は私もゴーリー用にトレチャックタイプの
ケージを探した時このメーカーで手に入れたので
ボストンに行った時トーマスが同じメーカーのマスクを
使っているのを知っていたのでどんなプレーヤーなのか
興味を持って見てました。
その時はまだキャッツアイタイプのMARGEマスクを
使っていましたが、今は販売中止になっているようです

格子型は他のメーカーより目が粗いので
視野が広くなると思いますが、スティックが
入りやすくて危険度が増すと思うので
CSA/HECC承認ではなくアマチュア選手は
試合では使えないかもしれませんが・・
| はたぴょん | 2011/06/18 16:46 |
たしかファイナル何戦目かでトーマスがバロウズに対してスティックでちょっかい出したシーンちゃんとみてましたよ。

バロウズがキレるのも無理ないか…

あんなのがMVPでいいんですかね、じろうさん?
下手したらペナルティとられますよ。

たしかに失点数は少ないですが…



| TAMMA | 2011/06/18 23:24 |
あのバロウズに対するスラッシングのシーン、
その前にバロウズがトーマスのスティックを叩いています。

トーマスがいきなり叩いたわけではないのでお互い様だと思います。
まあ、ゴーリーのスティックで叩いているのでかなり危険ではありますが・・・

| けんぼー | 2011/06/19 08:57 |
皆さん、コメントありがとうございます。

>waniさん
結果が問われるプレーオフで、これ以上ない結果を残したトーマス選手は見事でしたよね。
他にもたくさん「かっこよすぎる」選手がいますから、
テレビで見るだけにとどまらず、一度現地へ行かれてみてはいかがですか?

>くま三郎さん
くま三郎さんのコメントどおり、現地のメディアでは、第6戦の前あたりから、
バンクーバーが勝っても、コンスマイストロフィーの最有力候補はトーマス選手
との記事が、いくつもありましたよ。
くま三郎さんも「和製トーマス!」と呼ばれるように(怒りっぽいほうじゃないですよ)
ぜひ頑張ってください。

>BRASHEARKEIさん
「おじさんの存在感!」に負けず、リンク上での“大暴れ”を期待しています。
といっても、新年度から「役職」に就かれたとのウワサも耳にしたので、
今までのような暴れん坊ぶりは封印ですか???

>デンじいさん
1年前に22歳にしてコンスマイストロフィーを手にしたテイズ選手とは対照的でしたね。
それから、やはり試合後の大混乱は「いただけない」ですね。ただ日本のメディアの数多くが、暴動として報道していたのに対し、
試合の結果を報じたところが、わずかだったのは、もっといただけないですけれど(苦笑)

>NONさん
残念な結果に終わってしまいましたけれど、
あれだけケガ人が相次いだ中で、プレジデンツカップを手にした上、
ファイナルまで勝ち進んだのは、賞賛に値すると思いますよ。
来季へ向けては、ビエクサ、サロ、エアホフ各選手をはじめ、主力DF中心に制限なしのFA資格を持つ選手が多いので、GMの腕の見せどころですね。

>truillさん
「最終戦はアウェーチームの勝ちもあるかと思った」とは、さすがですね!
ちなみに優勝したボストンのキャプテンの#33ズデノ・チャラ選手は、
身長206センチで、170キロのスラップシュートを打ちますけれど、
こんなとんでもない選手がアジアに来てくれると、試合を見に行く楽しみが増えますよね〜。

>バンクーバー市民さん
メディアの端くれにいる者が言うのもなんですが、
日本の出来事が一部を一面からしか見ずに報じられているのと同じように、
今回の件も市民ボランティア云々に関しては、ネットなどで調べないと行き当たらないのが事実です。
ただ素朴な疑問ですが、なぜチームや選手に対して行動を起こさないのでしょうね?
完全にスポイルしてしまっているのでしょうか?

>“バンクーバー水族館の語りべ”こと(笑)、はたぴょんさん
こんにちは。お元気ですか?
ボストンに招待された時は、まだ近年ほどの強さはなかったと思いますが、
先物買いで(?)、いろいろと買われていたんですね!
ご自宅に「物が多くて」と言われていたのも、納得ですよ(笑)

>TAMMAさん
おそらく9日付けの記事の中で、最初に掲載されている写真のシーンの時だと思いますが、
この時は、レフェリーがスラッシングをジャッジしていますし、
それまでのシリーズでの荒さもふまえた上でのコンスマイストロフィー選出だと思います。
それ以前に、ファイナルで、しかも同じ相手と7回続けて対戦したら、
小競り合いどころか、あちらこちらでバトルが起こっていましたよね(笑)

>けんぼーさん
まさに、おっしゃるとおりだと思います。
前に仕掛けられたことが伏線になっていたようですし、
確かにゴーリースティックでのスラッシングに、マイナーだけでいいのという気も…。
繰り返しになりますけれど、この二人に限らず、フェイスオフマークや、
ベンチへの下がり際なんて、エグいくらいのシーンが何度もありましたよね(笑)
| 「語りべ」 | 2011/06/19 13:05 |
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