日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
釧路アイスアリーナで行なわれていた、
アジアリーグのプレーオフ ・ファーストラウンドは、
西脇雅仁選手の活躍が光った第1戦 に続いて、
第2戦も、
日本製紙クレインズが8−4で勝利 して、2連勝!
全日本選手権から通じて、6日間で5試合という、
タフなスケジュールを物ともせず、
アニャンハルラとのセミファイナルに、コマを進めました。
対して、カンウォンランド時代から通じると、
プレーオフでは、3年続けて「日本チームの壁」に跳ね返されてしまった High1(ハイワン)は、
今日の朝、釧路を発って、韓国へ帰国しました。
今季を振り返ってキム ・ヒウ監督は、
「5位に終わってしまいましたが、大きな力の差は感じませんでした。
ただ昨季までと比べると、外国人選手の働きに差が出てしまったので、
1点差の試合で、競り負けることが多かったです」 と分析。
しかし、その一方で、
「他のチームに比べると、ウチは若い選手が多いですが、彼らの成長が大きな収穫です」
とも話していただけに、来季こそは、プレーオフで日本のチームを倒して、
“次の一歩” を踏み出したいところです。
これでHigh1は、今季の全日程を終えましたが、
昨日の試合をもって、スティックを置くことになった選手がいます。
それは、
#11 ペク ・ヒョング 選手!
ご存知の人も多いでしょうが、
韓国の成人男性には、約2年間の兵役任務が課せられますが、
これには年齢制限があり、大学院生などの特例を除いて、
29歳までに、兵役に就かなければなりません。
そのため、
以前の記事 でも紹介したように、
4月に29歳の誕生日を迎えるペク ・ヒョング選手は、
来季のアジアリーグでプレーをすることが、許されないのです。
以前は、主力セットでの起用が多かった ペク ・ヒョング選手も、
今季は若手選手の台頭で、4つ目のラインがほとんど。
しかもプレーオフに入ってからは、3つのセットだけで戦い続けたため、
第1戦に続いて、昨日の第2戦も、
一度もシフトチャンスのないまま、どんどん試合が進んでいきました。
第1ピリオドに、4点を許したのが響いてしまい、苦しい戦いを強いられたHigh1は、
3点差を追って、全員攻撃を仕掛けますが、
それも実らず、エンプティーネットゴールを決められ、万事休す。
既に、試合の残り時間は1分を切り、
もしかしたら、自らのホッケーキャリアに、ピリオドが打たれるかもしれない時が、近づいてくる中で、
一言も発することなく、じっとリンクを見つめていた ペク ・ヒョング選手の胸中には、
一体、どんな想いが、渦巻いていたのでしょうか──。
鋭い視線で、その瞬間を脳裏に焼き付けていたのが、ウソだったかのように、
試合後のペク ・ヒョング選手は、
いつもと変わらないフレンドリーな表情を浮かべながら、やって来ると、
こんなことを話してくれました。
「最後は、こんな(大差の)試合になってしまったけれど、
初めは歯が立たなかった日本のチームとも、
同じレベルで試合ができるようになったことが、一番の思い出だよ」
ペク ・ヒョング選手から、不満の言葉は聞かれませんでした。
むしろ後輩たちによって、これからもっとチームが強くなっていって欲しいと言わんばかりに、
笑顔を残して、チームメイトが待つバスへ乗り込んでいきました。
この春から、兵役任務に就くに際して、
配属先は、最前線の軍隊勤務ではないそうですが、
年齢を考慮すると、2年間のブランクは、あまりにも大きいため、
このまま引退を強いられてしまう可能性も…。
たとえ言葉が通じなくても、いつも会う度に、笑顔で声を掛けて来てくれた彼が、
“次の一歩” を踏み出すのにあたって、
「語りべ」は、心からのエールを贈らずにはいきません。
頑張れペク ・ヒョング! また会おう !!
◆photo supported by
YONSU