加藤じろう直営!「語りべ」通信
 
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2010.04.01
熱戦!プレーオフ2010<10>新たなスタート
日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。

4月になりました!
新年度を迎えたことで、今日から新たなスタートという方も、多いのではありませんか?

そこで、加藤じろう直営!「語りべ」通信でも、
新たなスタートを切ることになった二人の選手に、スポットライトを当てて、お届けしましょう!


前回の記事でも紹介したように、
今季のアジアリーグは、5試合中、実に4試合がオーバータイムに及ぶという、
“アジアのホッケー界の伝説に残るファイナル” を制して、アニャンハルラが初優勝。

昨季から制定されたプレーオフMVPには、
2試合連続ゲームウイニングゴールを決めるなど、
セミファイナルからの9試合で、6ゴール 7アシストをマークする活躍を見せた、
#25 ブロック ・ラドゥンスキ 選手(写真中)が、選ばれました。

しかし、ラドゥンスキ選手に引けを取らない働きで、
初優勝の原動力となった二人のことも、見逃すわけにはいきません。

その二人とは、#43 パトリック ・マルティネツ 選手(写真右)と、
#30 ソン ・ホソン 選手(写真左)!
   ハルラ初優勝の原動力となったソン・ホソン、ブロック・ラドゥンスキ、パトリック・マルティネツの各選手

「オタカー ・ヴェイヴォダ ヘッドコーチ(当時)に、
アジアのチームでプレーしてみないか? と誘われたから」
とハルラとの契約に至った理由を教えてくれたマルティネツ選手。

実は、かつてヴェイヴォダ ヘッドコーチが、
古河電工(日光バックスの前身)を指導していたことから、
「てっきり日本のチームでプレーするのだと思っていた(笑)」 そうですが、
韓国にやって来てからは、異なる文化を積極的に取り入れ、
奥さまと、二人のお嬢さんと一緒に、コリアンライフを満喫しています。

そして、肝心の氷の上では、
目の肥えたチェコのファンを沸かせてきた高いスキルを、存分に披露!
アジアリーグ屈指のプレーメーカーとして、
対戦するチームから、恐れられるほどの存在感を発揮し続けました。

「あと1年。あと1年と言っているうちに、
韓国へ来てから、もう5年になっていたよ(笑)」
というマルティネツ選手は、もう38歳。

「将来はコーチをしてみたいから、そろそろ引退するかも?」
と数年前から、冗談めかしていましたが、
今季は、開幕前に 「最後のシーズンにする」 と宣言。

その強い決意が、プレーにも表れていたマルティネツ選手は、
レギュラーシーズンMVPに輝いたほどのプレーで
ハルラの2年連続リーダーズフラッグ(第1位)獲得に大きく貢献し、
プレーオフでの活躍にも、期待が集まりました。
           パトリック・マルティネツ Patrik Martinec 選手

しかし、「好事魔多し」との言葉があるように、
マルティネツ選手は、セミファイナルの第1戦で右足を負傷し、救急車で病院へ。

診断の結果は、全治6週間。
最後のシーズンを、不本意な形で終えることに…。

ところが、ファイナルの開幕前に会ったマルティネツ選手には、全く悲愴感はなく、
穏やかな笑みを浮かべながら、こんな風に話していました。

「これもホッケーなんだよ」


不完全燃焼で、現役生活にピリオドを打つこととなったにもかかわらず、
プレーイングコーチの肩書きを持つマルティネツ選手は、
すぐさま気持ちを切り替えて、対戦相手の分析に着手。

「昨季のセミファイナルで負けた時は、クレインズの研究が足りなかったと思う。
でも、今季は彼がいろいろと研究して、対策を考えてくれました」

キャプテンの #5 キム ・ウジェ 選手から、こんな声が聞かれたように、
マルティネツ選手の経験と頭脳は、
シム ・ウィシク監督と、ペ ・ヨンホ コーチをサポートして、
初優勝への大きな力になりました。

しかし、マルティネツ選手は、自分の仕事ぶりを、決して評価することなく、
笑みをたたえながら、こんな言葉を口にしました。

「ラッキーだっただけさ」
          コーチとして初優勝の力となったマルティネツ選手


穏やかな表情だったマルティネツ選手の表情とは対照的に、
ハルラのゴールを守り続けたソン ・ホソン選手の瞳は、涙で潤んでいました。
         涙で目を潤のせていたソン・ホソン選手


それもそのはず、以前の記事で、お届けしたとおり、
ソン ・ホソン選手は、韓国の成人男子に課せられた、約2年の兵役任務に就くことから、
開幕前から、「今季を区切りのシーズンにする」 と決意していたため、
優勝の瞬間は、体全体で喜びを表現!
           喜びを体全体で表現していたソン・ホソン選手

しかし、歓喜の表情を浮かべる24時間前に、
ソン ・ホソン選手は、かつてない程の悔しさを味わっていました。

ファイナル第4戦。
試合終了2秒前に、同点ゴールを許し、
オーバータイムで、決勝点を奪われての逆転負け。

試合終了後、ハルラのドレッシングルーム前の廊下に、
腰を下ろしたまま動けずにいたソン ・ホソン選手は、
キム ・ソンベGKコーチから、言葉を掛けられても、全く表情を動かさずじまい…。

「ハートが弱い」
対戦相手のチームの選手から、
こんな厳しい評価を耳にすることもあっただけに、
翌日の試合への影響が心配されましたが、
「最後の試合だと思わずに、プレーに集中するように心掛けました」
というソン ・ホソン選手は、
第5戦では、幾度となく訪れたピンチを凌いで、ついにアジアの頂点へ!

「厳しい状況の中で、彼が頑張ったのが勝因だよ」
と守護神を称えたマルティネツ選手と、力強く抱き合っていました。
      抱き合って祝福し合うマルティネツ選手とソン・ホソン選手

「アジアのホッケーファンの皆さんに、お礼を言いたいです」
優勝後のインタビューで、ようやく笑顔を見せてくれたソン ・ホソン選手。
最後に、こんな一言を残して、リンクをあとにしました。

「また2年後に戻ってきます!」


家族とともに、もうすぐチェコに帰国する マルティネツ選手と、
世界選手権代表を辞退して、兵役任務に就く手続きを済ませた ソン ・ホソン選手。

“新たなスタート” を切る二人が、
またリンクに戻ってくる日を、心から待ち望みたいですね。

  ─────────────────────────────────────────────────────

2003年11月にスタートしたアジアリーグは、
これまで毎年、日本のチームがチャンピオンに輝いていましたが、
今季は、7年目にして初めて、韓国のチームが優勝を飾りました。

頂点に立ったハルラはもちろん、
High1(ハイワン)も、4年続けてプレーオフに進出しているとあって、
「韓国の両チームの外国人選手枠を見直すべきでは?」
という声が、日本の関係者やファンから、ずい分と聞こえるようになっています。

しかし、約2年間の兵役任務という、
避けることのできない国の決まりがあることで、
長期的な戦力強化のプランを立てられない現状を考えると、
外国人選手によるチーム力アップは、必然と言えるでしょう。

また、昨季のセミファイナルで、
ハルラの強力なオフェンスと対峙したことで、
「ファイナルの試合は、ずい分と楽に感じました」
という声が、何人ものクレインズの選手から聞かれたように、
力のある外国人選手が揃う韓国チームとの対戦が、
日本の選手たちの財産になっているのは、明らかなところ。

この事実を考えれば、韓国チームの外国人枠を減らして、
チーム力がダウンしたところで、アジアリーグの均衡化を図るよりも、
負けじと日本のチームが腕を磨いていって、
リーグ全体のレベルアップを目指していくほうが、
日本のホッケー界にとって、得策であるのではないでしょうか?


ハルラが初優勝したことで、ライバルの High1 も闘志満々のはず。
さらに、王座奪還を狙う日本のチームだけでなく、中国チームも力をつけて、
どこが勝つか分からない大混戦となっていくように、
アジアリーグが “新たなスタート” を切ることを期待しましょう !!

◆photo supported by YONSU , TOMOKI OTANI
and OSAMU KIMURA  editor of K-HOCKEY!
アジアリーグ | comments(15) | trackbacks(0)
2018.01.19
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この記事に関するコメント
マルティネツ選手のお話、大変感動しました。
優勝したとき、彼は私服でしたが、ハルラのジャージを私服の上に着て出てくればよかったのに、と思いました(現地には行ってないので、写真を見てそう思ったのですが)。
スタンレーカップファイナルではヘルシースクラッチの選手もジャージを着てカップを持ち上げますからね。

ホソン選手は一昨年の12月、ハルラが東伏見で初めて勝ったとき以来、ハートが弱いとは思わなくなりました。彼を初めて見たのが3年前の釧路のセミファイナル、当時はカンウォンの守護神でしたが、あのとき、すばらしいゴーリーがいるなあと思ったのを覚えています。あれから3年、同じ釧路で優勝を決めたのも感慨深いです。

外国人枠については、兵役以外にも、現行のようになっている理由があると思いますので、私も減らすのは反対です。
現在、日本チームの多くは経済的理由で外国人枠をフルに使っていません。自分達はフルに使っていないで、相手に減らせというのはどうだろうと思います。
優勝したハルラを見たいと、各地のアリーナに来季はお客さんが多く来るかもしれないのに、そういうことをしたら、お客さんも減ってしまうと思います。

ところで、五輪や世界選手権ではベスト3やベスト6を選んだりしますが、プレーオフで選ぶとしたら、じろうさんは誰を選びますか?
たぶん、ベスト3は、FWラドゥンスキ、DFウッド、GK石川を選ぶ人が多いのではないかと思いますけど、6人になるとむずかしいですね。
| Jun | 2010/04/01 15:16 |
私は「チーム間での外国人枠差」の存在には反対です。全てのチームの条件は同一であるべきだと思います。

ただしそれは「韓国チームの外国人枠を減らす」のではなく、「日本チームの外国人枠を増やす」ことで解決すべき問題かと。

3ないし4で全チーム統一すればいい。

重要なのは「全チーム同一のレギュレーション」の元にリーグが行われること。与えられた枠を使用するかしないかはチームの問題です。今年もそうでしたし。

日本アイスホッケーのレベルアップには、外国人選手との(敵味方を問わず)プレーが絶対に必要です。

特に王子は。

| ぐら | 2010/04/01 15:56 |
じろうさんやここでコメントされている方たちと全くもって同感です。
国際競技力もそうですし、何より純粋にファンとして試合を見る際、外国人選手のハイレベルの技術や個性あふれるプレーは楽しみの1つであります。
かつて隆盛を誇っていた日本リーグが衰退した要因に“外国人選手の締め出し”があったというのは否定できません。
事情や背景は当時と異なるかもしれませんが、同じ轍を踏んではいけないと思います。
| 遊 | 2010/04/03 02:59 |
皆さん、コメントありがとうございます!

>Junさん
プレーオフでの各ポジションのベストプレーヤーは、「語りべ」も、
この3人の顔ぶれに同感です。
もし、ベスト6となると、難しいですけれど、、、
CFはチョ・ミンホ選手。ウイングに小原選手。DFでは、大澤選手といったところでしょうか?

>ぐらさん
理想をいえば、外国人枠という決まりがなくなって、
何人獲得しても、ゼロであってもOKというのが、ベストなのかもしれませんね。
個人的には、日本人だけのチームが、
助っ人中心のチームに勝って優勝するというのもアリだと思いますが…

>遊さん
何よりも、コメントしてくださった、
「外国人選手のハイレベルの技術や個性あふれるプレーは楽しみの1つであります」
という声が、一番重みがあると思います。
ファンが求めるリーグは、どんなものなのかを追及して、
アジアリーグの魅力をアップさせて欲しいですね。
| 「語りべ」 | 2010/04/05 07:59 |
ご無沙汰しております。少し遅ればせながらのコメント失礼いたします。マルちゃん、引退なのですね。すごく寂しく残念でなりません。しかし、一方でハルラは彼の穴を埋められるくらいスキルの高い若手がそろっていますので、その点はまた次のシーズンに期待したいところです。

外国人枠・・・たしかに日本のチームの枠を増やして、それをどう使うかはチーム次第というのが一番すっきりするかもと思います。

来シーズンは、ハルラは#23との契約を更新し、外国人を#2、#23、#25、#27でいくと予想しております。
| しなだ | 2010/04/09 03:20 |
>しなださん
コメントありがとうございます!

マルティネツ選手本人の口から、「今季限りで」との言葉がありましたが、
正式にチームから発表されたものではありませんので、
もしかしたら、V2を目指すために現役続行!
なーんて姿が見られるかもしれませんよ !?
| 「語りべ」 | 2010/04/10 02:08 |
久しぶりの書き込みです。EXスポーツでの放送が遅れているため、今朝方試合の模様を観戦しました。

以前世界選手権のトップディビジョンで極東枠があった頃、代表チームで毎年日本と韓国、中国が争っていましたが、いつも日本が勝っていた記憶があります。

韓国のアイスホッケーが、日本に迫り、やがて追い越すような存在になるかもしれませんね。

GKソンドンホン選手がチームを離れる背景には、2年間の兵役が関係しているのですね。2年間の兵役を終えたらチームに合流できるわけですから、頑張ってほしいです。チェコに帰国するマルティネツ選手もお疲れ様です。

3戦戦勝方式のプレーオフで、4回も延長戦にもつれたのは、初めてではないでしょうか。両チームとも互角の戦いをしたと思います。3ピリオドでクレインズは、ゴール裏をうまく使っていましたし、ハルラの方は相手ゴール前でスクリーンを作ったり、リバウンドを叩いていたように感じました。
| KS | 2010/04/10 09:54 |
じろうさん、お久しぶりです。やはりタレントが揃っていたハルラ優勝しましたね。外国人枠についてはすべてのチームに対して同じ条件が望ましいですね。自分は第7回リーグから見てますが、やはり外国人のスキルの高いプレーを見る事そのものに楽しみを感じてました。ただ企業スポーツそのものの基盤が脆いという今の社会情勢もあり、なかなか実現には難しいかもしれませんが。来シーズンはもっと東京で試合を見たいですね。
| iceb55 | 2010/04/10 15:15 |
コメントありがとうございます!

>KSさん
「兵役」という国の事情を差し引いても、
韓国のチーム力が、急速に日本へ迫ってきているのは、誰もが認めるところですから、
おっしゃられたとおり、逆転する日は近いかもしれないですね。

> iceb55
「語りべ」は、まだ取材者としてではありませんでしけれど、
耳にした話では、日本リーグから外国人選手を排除した期間が、
停滞につながってしまったとも聞いていますから、
外国人選手の影響力は、大きいといえますよね。
| 「語りべ」 | 2010/04/14 15:20 |
ブンデスリーガ(独サッカー)では外国人枠がない代わりに「ドイツ出身者を○人以上登録しなければならない」というルールがあるらしいです。

以上参考まで。
| Qualz | 2016/02/19 23:31 |
>Qualzさん
コメントありがとうございました。

残念ながら、こちらの記事をアップした時と、
アジアリーグとアジアのホッケーを取り巻く環境は、大きく変わってしまっています。
| 「語りべ」 | 2016/02/20 00:10 |
>こちらの記事をアップした時と……
最近(サハリンの参入後に)アイスホッケーを見始めたので、その辺りがよく分かりません。大まかにでもまとめていただければ嬉しいです。

「17 seconds (2013 Stanley Cup Final)」でアイスホッケーを知った者より

追伸……帰化選手は外国人枠に含まれますか?
| Qualz | 2016/02/20 08:40 |
>Qualzさん
お返事を拝見致しました。

ご質問の件ですが、まず国籍を取得した選手については、外国籍選手枠登録をせずに済みます。
同じく外国籍選手についてですが、
以前に比べてキャリアスタッツで見劣りする選手が増えているのに、
個人タイトルランキングの上位や、スペシャルプレーに起用される顔ぶれに、
多く名前を連ねているという現状は、本来であれば看過できない点だと思います。
| 「語りべ」 | 2016/02/20 16:59 |
お返事ありがとうございます。

リーグ全体の底上げを図るか、自国の選手の育成を優先するか……どちらが良いか決めかねます。
| Qualz | 2016/02/20 20:17 |
> Qualz さん

コメントをしてくださって、ありがとうございました。
お時間がありましたら、また「語りべ」通信へお越しください!
| 「語りべ」 | 2016/02/22 07:34 |
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