日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
昨夜、プレーオフ・ファーストラウンドが開幕しました。
サントリー東伏見アイスアリーナでは、昨季の覇者のコクドと、
前身の古河電工時代から通じて、初めてのプレーオフ進出を果たした日光バックスが激突。
シリーズ第1戦は、コクドが先行すれば、バックスが追いつくという展開で、
オーバータイムに、もつれ込む熱戦となりましたが、
#75
ユール・クリス選手のゴールで、コクドが劇的なサヨナラ勝ち!
試合後のリンク上では、コクドの選手たちが、
歓喜の表情を見せながら、喜びを爆発させていました。
「キーポイントは立ち上がり」
試合前、バックスの
若林弘紀コーチの口からは、こんな言葉が飛び出しました。
というのも、今季のバックスは、コクドとの6試合で27失点していますが、
そのうち半分の13点が、第1ピリオドの失点。
しかも、敗れた4試合のうち3試合で、試合開始1分以内に “秒殺” され、
コクドに傾いた試合の流れを、そのまま奪い返すことができずに完敗。
それだけに若林コーチの言葉も、うなずけるところだったのですが、
バックスは、またも試合開始わずか59秒に、
#11
川口寛選手のリバウンドを、ゴール前に飛び込んでいった#9
佐藤翔選手に叩かれてしまい、
先制を許してしまいます。
しかし、この日のバックスは、ここでネジを巻き直します。
GK#61
春名真仁選手の、好セーブの連続をキッカケにして、本来のスタイルを取り戻し、
第1ピリオドは、この1失点のみで切り抜けました。
すると第2ピリオドに入って、今度はバックスが “秒殺返し”。
登録とは異なって、#16土田英二選手、#25
ショーン・ポディーン選手とともに、
このピリオドもスターターに起用された、#96
佐藤正和選手が、
「バックスのプレーオフ初ゴールが決められて、うれしかったです」
と喜んだ同点ゴールを、こちらはわずか32秒に決めて、試合を振り出しに戻しました。
その後、コクドは、4人対4人の状況で、#16
小原大輔選手、
対するバックスは、パワープレーで、#17
飯村喜則選手という、
長野カップで、好調ぶりをアピールした選手のゴールが飛び出して、2−2。
試合は、そのまま第3ピリオドを終えても決着がつかず、
インターミッションを挟んで、オーバータイムへ突入しましたが、
またまた開始早々の53秒に、
バックスに攻め込まれたあと、自陣からのロングパスでノーマークとなったユール選手が、
春名選手の右肩口にシュートを突き刺し、サヨナラゴールをゲット!
“秒殺合戦” となった第1戦は、コクドが制しました。
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【「語りべ」’s EYE】 〜勇気ある決断
試合開始、わずか59秒の “秒殺ゴール” で先制したコクドでしたが、
そのまま試合の主導権を手中に収めて、楽勝ペースへと持ち込むことができず、
苦戦を強いられてしまいました。
その要因は、何といっても、「無駄なペナルティが多かった」(
岩崎伸一監督)こと。
特に、普段はファンやマスコミに、気配りを忘れることがないナイスガイながら、
リンクの上では、ついつい熱くなり過ぎてしまうことが目立つ、#33
ジョエル・パーピック選手が、
第2ピリオドに入ってエキサイト。
バックスのペナルティによって、パワープレーチャンス到来となりながら、
ホイッスル後の不必要な接触プレーで、ラッフィングのペナルティーに…。
思い返せば1年前、長野で行われた全日本選手権の準決勝で、
クリス・ブライト選手(当時)の連続ゴールで、2点を先制しながらも、
パーピック選手が、ラッフィングとミスコンダクトペナルティを連発。
試合の流れを手放してしまったコクドは、王子製紙に逆転負けを喫し、大会3連覇を逃してしまいました。
その光景を、コーチとして見ていた岩崎監督は、
「ベンチの雰囲気が悪くなるから」と、
ペナルティが終了して戦列に戻ったパーピック選手を、
第2ピリオドの中盤以降、全くシフトさせませんでした。
ズラリとタレント選手が揃っていた昨季までなら、いざ知らず、
少数先鋭の陣容となった今季のコクドで、
あえて第1セットのC Fを起用しないという決断は、かなりの勇気が必要。
しかし岩崎監督は、この決断にも「全く迷わなかった」と話してくれました。
「確かに大黒柱を欠くのは痛いですけれど、
プレーオフは、個人がチームのために犠牲にならないと勝てないですからね」
との岩崎監督の信念が通じたのか、
再び第3ピリオドから、第1セットで起用されるようになったパーピック選手も、
ホイッスルが吹かれると、すぐに相手選手から離れるように心掛けたため、
その後はペナルティなし。
プレーオフ初采配となる岩崎監督の勇気ある決断で、
コクドは、1年前のように試合の流れを手放すことなく、
2連覇へ向けて、プレーオフの初戦を白星で飾りました。