日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
「トレード」と聞くと、今でも日本のスポーツ界では、
「放出された!」という、いささか良くないイメージが、つきまといがちですが、
NHLのみならず、北米4大スポーツと呼ばれる、
MLB(野球)やNBA(バスケット)、さらにNFL(アメフト)などでは、トレードが日常茶飯事。
それだけに、ダーティなムードが漂うようなことはありません。
しかし、そんな環境の中でも、
今季のNHLでは、地元のマスコミやファンが騒然となったトレードが、ありました。
それは、
ジョー ・ソーントン選手のトレードです。
ソーントン選手といえば、トリノオリンピックのカナダ代表。
オールスターゲームにも、ここのところ3年連続出場中で、
今季の開幕前に発売された、「
THE HOCKEY NEWS」のイヤーブックでは、
トッププレーヤーランキング ・第6位にランクされたほどの、
NHLを代表する選手の一人。
しかし、地元のマスコミやファンが騒然となったのは、それだけが理由ではありません。
ソーントン選手は、NHLを代表する選手である以上に、
チームの “顔” だったからです。
1997年のドラフトで、名門 ・ボストン ブルーインズが、全体1番目で指名。
ソーントン選手も、その期待に応えて、
いきなり1年目にデビューを飾ると、翌年からはレギュラーとして活躍。
ゲームメイクに優れた看板セットのC Fとして、チームに次々とポイントをもたらせた一方で、
C マークをつけてプレーすることも多く、
まさに、押しも押されもせぬ、ブルーインズのエース!
チームメイトからの信頼も厚く、
地元のファンからも絶大な人気を誇っていた、ソーントン選手でしたが、
昨年11月30日に、突然、サンノゼ シャークスへのトレードが通告されました。
8季半もの間、ブルーインズを引っ張り続けてきたエースを、放出したことに加えて、
シャークスから獲得した3選手が、ケガなどもあって、期待はずれ。
その上、今季は、3季続けて手にしていたプレーオフのチケットを、逃してしまったとあって、
「NHLアイスホッケー」の解説者の、ジェイムス ・イエローリーズさんによれば、
「ボストンのマスコミやファンは、今でも(ブルーインズの)GMをバッシングし続けている」
ほどなのだそうです。
一方、当のソーントン選手にとっても、
開幕前に3年間の再契約を済ませた上に、
豪邸も購入したばかりのところに届いたトレードの知らせは、
まさに、寝耳に水!
しかし、ソーントン選手は、しっかり気持ちを切り替えて、
新天地 ・シャークスのジャージでプレーした初戦で、いきなり2アシストをマーク。
10連敗と泥沼にハマッていたシャークスに、約1ヶ月ぶりの白星をもたらせると、
そこからチームは、一気に6連勝!
“ソーントン効果” で、上昇気流に乗ったシャークスは、
黒星が8つも先行していたのがウソだったかのように、順位を5位まで上げて、
ブルーインズとは対照的に、プレーオフのチケットを手にしました。
“ソーントン効果” があったのは、チームの順位だけではありません。
北米先住民族 ・クリー族出身のNHL選手として話題となっていた、
25歳の
ジョナサン ・チーチュー選手が、大ブレイク!
開幕から2ヶ月で、わずか7ゴールしか挙げられなかったのに、
移籍してきたソーントン選手と、同じラインでプレーするようになった12月以降は、
次々とゴールネットを揺らし続けて、実に56ゴール。
あの
ヤロミール ・ヤーガーを抜いて、今季のNHL得点王に輝きました!
そんなシャークスの勢いは、プレーオフに入っても衰えず、
ファーストラウンドで、
ポール ・カリヤ選手率いる ナッシュビル プレデターズを、
4勝1敗で難なく下すと、
セカンドラウンドでも、エドモントン オイラーズに2連勝!
このまま一気に、勝ち上がるのかと思われたシャークスでしたが、
第3戦以降は、まさかの3連敗…。
オイラーズに、王手をかけられてしまいました。
あとのないシャークスの頼みの綱は、やっぱりソーントン選手。
トレードされたエースの活躍で、シャークスが逆王手をかけるのか !?
それとも、オイラーズがカナダ勢最後の砦として、引導を渡すのか !?
注目の一戦の模様は、
J SPORTS ESPNの「
NHLアイスホッケー」で、お楽しみください!
「NHLアイスホッケー」
エドモントン オイラーズ−サンノゼ シャークス 第6戦
放送時間: 19日(金)深夜25時〜 (20日午前1時〜)
21日(日)午前5時〜