日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
NHLの “頂上決戦”、「スタンレーカップ ・ファイナル」
第7戦は、
20日(現地19日)、アメリカ ・ノースカロライナ州ローリーにある、RBCセンターで行われ、
カロライナ ハリケーンズが、エドモントン オイラーズを3−1で下し、
NHL参戦27季目にして(前身のハートフォード ホエラーズ時代を含め)、
悲願の初優勝を果たしました!
エドモントンでの
第6戦では、全くいいところのなかったハリケーンズでしたが、
この日は、19000人の地元ファンの前で、見事なスタートを切ります。
試合開始直後、キャプテンの
ロド ・ブリンダモア 選手が、いきなりのハードチェック!
これが呼び水となって、ハリケーンズはオイラーズゾーンに攻め込むと、
1分26秒に、ゴール裏にいた
マーク ・レッキ 選手からのパスが、
ポストに当たって、フェイスオフサークルまで転がったところを、
アーロン ・ウォード 選手が、思い切り良くシュート。
これがゴールネットに突き刺さり、
ハリケーンズは、第2戦以来となる先制点をゲット。
さらに、第2ピリオド4分18秒にも、
フランタ ・カベルレ 選手が、パワープレーゴール。
ハリケーンズは、主力DF2人の豪快なスラップシュートで、2−0とリードします。
対して、序盤から、なかなか本来のリズムでプレーができなかったオイラーズも、
第3ピリオドに入って、ようやくネジを巻き直し、1分3秒に、
前回の記事でも紹介した、プレーオフ得点王の
フェルナンド ・ピサニ 選手が、
バックチェックを受けながらもゴール前に突進して、パックをねじ込みます。
このゴールをキッカケにして、
第3ピリオドは、オイラーズがハリケーンズを上回るシュートを放ち、反撃に転じますが、
GK
キャム ・ウォード 選手の堅い守りの前に、同点に追いつくことができません。
オイラーズは、試合終盤に全員攻撃を仕掛けて、“あと1点” への執念を見せますが、
ジャスティン ・ウイリアムス 選手に、エンプティネットゴールを決められてしまい、3−1。
粘るオイラーズを振り切って、
ハリケーンズが、スタンレーカップを手にしました!
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『頂上決戦のキーポイント』 =Key Point of Final Battle =
21 対 13。
第2ピリオドまでのシュート数が示すように、
第6戦とは正反対に、主導権を握られてしまったオイラーズでしたが、
第3ピリオド序盤に1点を返して、本来のリズムを取り戻します。
その差は、わずかに1点。
オイラーズが試合の流れを引き寄せただけに、
第3ピリオドは、文字どおり、手に汗握る展開となりました。
そして迎えた16分20秒。
この試合、最大の見せ場を迎えます。
オイラーズは、自陣から素早くパックをつないで、ハリケーンズゾーンに攻め込むと、
ラフィ ・トーレス 選手が、左45度からスラップシュート。
威力のあるシュートだったため、GKのウォード選手は、ブロックするのが精一杯。
ゴール前に転がったパックを見つけたピサニ選手が、間髪を入れずにシュート!
同点ゴール!
と誰もが思ったその瞬間、ウォード選手が左足をいっぱいに伸ばして、ブロック !!
「ミラクルストップ」
オイラーズのオフィシャルホームページに、こう表現されたウォード選手のプレーが、
ハリケーンズに、スタンレーカップをもたらせたと言っても、過言ではありませんでした。
このシーンのみならず、プレーオフではスーパーセーブを連発し、
1試合の平均失点2.14。シュートブロック率は92.00%。
さらに、シャットアウトを2試合も演じるなど、ウォード選手は獅子奮迅の大活躍!
文句なしのプレーオフMVPに選ばれ、
ルーキーのGKとしては4人目(放送では3人目と紹介しましたが、4人目です。ゴメンナサイ!)の、
そして、「憧れのGK」と話していた、
マルタン ・ブロデューア 選手(ニュージャージー デビルス)でさえ、手にしたことがない、
コンスマイス トロフィー(プレーオフMVPに渡されるトロフィー)を獲得しました!
NHLのゲーリー ・ベットマン コミッショナーから、トロフィーを手渡されると、
ウォード選手は、試合中の堂々としたプレーとは対照的に、
ちょっとビックリしたような表情を浮かべて、何だか落ち着きなさげ。
「信じられない」と話した22歳の “MVPゴーリー” は、
トロフィーを掲げながら、少しこわばった笑顔を見せて、声援に応えていました。
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そのウォード選手とともに、プレーオフMVP候補に名前が挙がっていたのが、
キャプテンのブリンダモア選手。
このプレーオフでは、チームリーダーとしての働きは、もちろんのこと、
チームトップの12ゴールをマークして、得点源としても活躍。
さらに、パワープレーやペナルティキリングになると、必ずシフトされ、
平均のアイスタイムは、チームナンバーワンだったように、
そのプレーが勝敗を左右する、まさに、ハリケーンズのキーパーソン。
そんな自らの役割を、十分に分かっているからなのか、
ファイナルに入ってからは、試合中だけでなく、ピリオド間のインタビューの時でさえ、
一段と厳しい表情を見せ続けていました。
しかし、そんなブリンダモア選手も、
セレモニー終了後に、記念撮影が行われると、
ようやく表情を和ませて、チームメイトの輪の中に!
35歳。16年目にして、初めて手にしたスタンレーカップ。
大きな仕事を成し遂げたチームリーダーは、カメラのフラッシュを浴びながら、
まるで、いたずらが見つかってしまった少年のように、
少し照れながら、それでいて誇らしげな笑顔を浮かべていました。
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惜しくも敗れたオイラーズの
クレイグ ・マクタビッシュ ヘッドコーチは、
試合後、口元に少し笑みを浮かべながら、記者会見場に姿を現しました。
現役時代は、オイラーズでの3回に加えて、
ニューヨーク レンジャーズでも1回と、合わせて4回ファイナルを戦って、
全てスタンレーカップを手にした強運の持ち主。
今回も、第4戦で先に王手をかけられながら、
そこから粘って、最終戦まで持ち込んだだけに、
ヘッドコーチとして初めてとなるファイナルでも、その強運が発揮されるかと思いましたが、
残念ながら、あと一歩及びませんでした。
さすがに記者会見が始まってからは、笑顔こそ見られませんでしたが、
それまでの試合に比べると、質問に答える表情は、心なしか穏やか。
決して前評判が高くなかった中で、
現在のプレーオフのスタイルなってからは初めてとなる、
レギュラーシーズン8位からのファイナル進出。
そして、エースGKをケガで欠きながらも、最終戦まで接戦を演じ続けた粘り。
マクタビッシュ ヘッドコーチの胸中には、
16年ぶりの優勝を逃した悔しさの一方で、満足感も満ちていたのかもしれません。
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8ヶ月間に及ぶ、1313試合もの戦いを終えたアリーナでは、
こんな “それぞれの笑顔” が見られました。
多くの敗者と、ただ1チームだけの勝者。
熱く、そして激しい戦いを演じ続けてきた、全ての選手たちに、
心からの拍手を送りたいと思います。
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