日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
前回の記事でもお伝えしたように、
一昨日、札幌の月寒体育館では、
「第47回 ・札幌市民体育大会アイスホッケー競技」Aプール決勝戦が行われ、
札幌ポラリスが、札幌大学相手に11−1と大勝!
HNやぎさんが紹介して下さったとおり、
ポラリスの選手は、決勝戦に10人しか集まることができませんでしたが、
それでも格の違いを見せつけて、今大会を締めくくりました。
これで全日程を終了した札幌市民大会ですが、
大変だったのは、裏方として支え続けていた運営スタッフの皆さん。
というのも、今大会には男子A〜Cプール、女子、オールドタイマー併せて、
46ものチームがエントリーしていたため、
朝の10時から夜の10時まで、一日に7試合という日も!
それだけに、試合の記録やアナウンスに、電光掲示板の操作、
さらに、レフェリー、ラインズマン、ゴールジャッジ、ペナルティベンチのアテンダントなど、
試合進行に欠かすことができない裏方の皆さんは、
文字どおり、「慢性ショートハンド状態」だったそうです。(皆さん、お疲れ様でした!)
そんな中、決勝戦も含めて、
レフェリーとしてフル回転していたのが、
小野太 さんです。
ホッケーどころの苫小牧で生まれたこともあって、
3歳からスティックを握っていたという小野さんは、
大成小学校−光洋中学校−苫小牧工業高校と、ホッケー 一筋!
高校卒業後は、札幌の専門学校に進学し、札幌で就職した小野さんですが、
苫小牧を離れたあとも、クラブチームでバックを追っていたそうです。
そんな小野さんに転機が訪れたのは、サラリーマンとなって2年が過ぎた時のこと。
会社から東京への転勤を命じられ、札幌を離れることになりました。
「小さい頃から、ずっとホッケーをやってきて、自分のレベルも分かっていたし、
だんだん年齢も上がってきていたから、選手以外でホッケーに携われないか」
との思いを抱いていた小野さんは、
東京に移り住んだのを機に、レフェリーになろうと決意!
「もちろんレフェリーは大変な仕事だし、そんなに甘いものじゃないことは分かっていた」
と言うだけに、指導者や試合の運営スタッフになることも考えたそうですが、
あえて、「甘いものじゃない」道を選択。
その決め手となったのは、こんな思いだったと、打ち明けてくれました。
「小学校と中学校で同級生だった松浦(智哉選手)が、まだ西武でプレーをしていたから、
彼が現役の間に、一緒の氷に乗ってみたい!」
こうして、今から7年前に、レフェリーの道を歩み始めた小野さんですが、
アジアリーグで2年連続ベストレフェリーに選ばれた、川村一彦さんをはじめ、
先輩レフェリーからの熱心な指導と、
「多い時は、年間120試合くらいホイッスルを吹いた」という実戦経験の甲斐あって、
3年目のシーズンには、早くもラインズマンとして、日本リーグでデビュー!
「最初の試合が終わったあとに、高いお肉をご馳走になったんですけど、
全く味が分からなかったですね」
と苦笑いした小野さんですが、デビュー戦の評価は上々。
その後も、トップリーグや関東大学リーグなどで、ホイッスルを吹くことが多かっただけに、
「レフェリー小野太」
というアナウンスを耳にした記憶のあるファンの方も、多いのでは?
そんな小野さんに、昨年の夏、また転機が訪れました。
再び、札幌への転勤が命じられたのです。
以前、小野さんが住んでいた時と違って、
現在では、札幌で行われるトップリーグの試合は、数えるばかり。
しかし、それでも小野さんは、札幌に戻ってもレフェリーを続けています。
昨季のアジアリーグのクリスマス集結シリーズや、全日本選手権はもちろんのこと、
子供やクラブチームの試合も、数多く担当。
さらに、自ら車を運転して、苫小牧の試合でホイッスルを吹くことも、珍しくないのだそうです。
「いよいよシーズンが始まりますね」
今季も、レフェリーとして忙しくなりそうな小野さんは、
大会中に笑顔で話していましたが、新しいシーズンへの備えは万全の様子。
「レフェリーは、選手のスピードについていけないとダメですからね」
と話す小野さんは、仕事で疲れている時でも、ランニングを欠かさないばかりか、
時にはフルマラソンの大会に出場するなど、体力の強化に余念がありません。
残念ながら、他のアマチュアスポーツと同じように、
たとえトップリーグの試合であっても、
レフェリーやラインズマンの日当は、その労力に見合ったものとは言えません。
しかし、それでも忙しい仕事の合間に、ホイッスルを吹き続けている小野さんは、
その理由を、こんな風に話してくれました。
「レフェリーがいないと試合は始まらないから、誰かがやらないといけない。
それだったら自分がやろう。
自分は3歳からホッケーをやってきたから、ホッケーに恩返しをしよう。
その気持ちだけですよ」
小野さんだけでなく、自分の時間を削ってでも、
「ホッケーのために!」 とレフェリーを続けている方たちが、
全国には数多くいます。
そんなホッケーを愛するレフェリーの方たちなくして、新たなシーズンは始まりません。
全国のレフェリーの皆さん、今季も頑張ってください!
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