日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
アジアリーグのレギュラーシーズンは、開幕から1ヶ月が過ぎ、中盤戦へと向かいますが、
これまでホームゲームが続いていたHigh1が、今季初めての日本遠征に臨み、
今日から、日光アイスバックスと、SEIBUプリンスラビッツ相手に、3試合を戦います。
High1といえば、アジアリーグを代表するポイントゲッターの
#79 アレックス ・キム 選手や、
クレインズから移籍した
#71 桑原ライアン春男 選手。
さらに、昨季のヤングガイ・オブ・ザ・イヤー賞を獲得した、
#31 オム ・ヒョンスン 選手に、
先日、初完封劇を演じた #39 金丸久 選手 など、日本でも、おなじみの選手が多いですが、
この他にも、「語りべ」が、注目して欲しい選手がいます。
それは、
#11 ペク ・ヒョング 選手です!
昨季まで、第1セットのウイングに起用されていたとはいえ、
身上としているのは、ゴール前での粘りや、しつこいチェックなど、
どちらかといえば、地味な働きで、チームに貢献するプレーヤー。
とはいうものの、High1(当時はカンウォンランド)が、
初めてプレーオフのチケットを手にした一昨季には、
34試合で、25ポイント(11ゴール14アシスト)をマーク。
プレーオフでも、劇的な決勝ゴールをゲットして、
大活躍したのを覚えている方も、いらっしゃるのではないですか?
そのペク ・ヒョング選手と、開幕前に話をしていた時のこと。
近くにいたHigh1のパク ・ビョンチョル マネージャーが、
「語りべ」に向かって、こんな言葉を口にしたのです。
「彼は、今季が最後のシーズンなんですよ…」
韓国の男性には、およそ2年間の兵役義務があることは、よく知られていますが、
これには年齢制限があり、大学院で学んでいるなど、一部の特例を除いて、
29歳までに、兵役に就かなければならないと、法律で定められているのだそうです。
そのため、High1や、アニャンハルラの選手たちは、
大学卒業後に、数年間プレーしたあと、
兵役のため、チームを離れる選手が、ほとんどなのですが、
ペク ・ヒョング選手は、これまでずっと、スティックを握り続けてきました。
しかし、来年4月に誕生日を迎えると、29歳になってしまうため、
ペク ・ヒョング選手にとって、今季が 区切りのシーズンとなるのです。
「なぜ今まで、ずっとホッケーを続けていたの?」
という問い掛けに、ペク ・ヒョング選手は、ハッキリとした答えを返してくれませんでしたが、
もしかしたら、韓国北部にあるピョンチャン(平昌)が、
冬季オリンピックの開催地に、立候補を続けていたことで、
オリンピックの開催が決まったら、強化のために、兵役が免除されるかもしれない。
というシナリオを、描いていたのかもしれません──。
しかしピョンチャンは、2010年のオリンピックでは、カナダのバンクーバーに。
続く2014年も、ロシアのソチに、いずれも決選投票の末に惜敗。
韓国国内では、2018年の開催地に、
ピョンチャンが3度目の立候補をするのではないか、という話も聞かれますが、
ペク ・ヒョング選手に、シナリオの続きを描く時間は、もう残されていないのです…。
「韓国人のFWでは最年長ですけれど、
日本だったら、28歳の選手は、ベテランって言わないでしょう?(笑)
若くて上手な選手が増えてきたけれど、負けずにルーキーに戻ったつもりで、やりますよ!」
ペク ・ヒョング選手は、こう明るく言い放って、区切りのシーズンに臨んでいます。
間もなく30歳という年齢を考えると、
兵役によって、2年間もスティックを握ることができないのは、大きな痛手となるのは明らか。
それだけに、ペク ・ヒョング選手にとって、区切りのシーズンは、
パク ・ビョンチョル マネージャーが言うように、
最後のシーズンとなってしまう可能性が、大きそうです・・・。
「いつもラーメンを食べるのが楽しみ!」
という残り少ない日本への遠征で、
ペク ・ヒョング選手が、悔いのないプレーをしてくれることを、願わずにはいられません。
◆photo by
YONSU