日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
長野市のビッグハットに、世界のトップ4が集まって繰り広げられている、
「
ジャパンパラリンピック アイススレッジホッケー競技大会」は、
昨日をもって、予選リーグが終了。
前回の記事で紹介したように、ノルウェーとの初戦で、完封勝利を収めた日本は、
続くアメリカ戦と、カナダ戦に臨みましたが、結果は2連敗…。
残念ながら、決勝戦に進むことができませんでした。
とはいっても、決して悲観する試合内容ではありません。
「バックチェックさえ しっかりやれば、十分(互角に)戦える」
という
須藤悟 選手の言葉どおり、
昨季の世界選手権で優勝したカナダ相手に、1−3。
アメリカ戦(同大会3位)に至っては、0−0のまま、GWS戦まで もつれた末の惜敗とあって、
試合終了後には、スタンドのファンから、惜しみない大きな拍手が送られていました。
そんな試合を演じた立役者が、GKの
永瀬充(みつる) 選手!
初戦で、ノルウェー相手に、シャットアウトを演じた永瀬選手は、
その後の試合でも、ガッチリとゴールを死守。
特にアメリカ戦では、思わず目をつぶってしまうようなピンチを、
何度もビッグセーブで凌ぎ、
パワフルな選手が揃うアメリカのオフェンスを、
延長戦終了まで、無得点に封じてみせました。
文字どおり “守護神” としての働きを披露した永瀬選手ですが、
その働きは、相手のシュートをブロックしていただけに、とどまりません。
「DFとは、常にコミュニケーションをとるようにして、
相手のカウンターアタックの時の守り方などを、確認しています。
それと、ゴーリーは、試合中に全体のプレーが見れるので、
パックに寄り過ぎたりしないように、積極的に声を出すよう心掛けています。
理想は、全員で守って、シュートを1本も打たれないことですね」
日本人初のNHLプレーヤー
福藤豊 選手(ECHLベーカーズフィールド)は、
「GKは氷上のボスだと思っている」
と話していましたが、永瀬選手も、まさに “日本代表の氷上のボス” であるかのように、
日本の守りを、ガッチリ支えているのです。
1998年の長野パラリンピックでは、アメリカを相手に、
続く2002年のソルトレイク パラリンピックでは、カナダに対して、
それぞれ日本が金星を挙げた時に、ゴールを死守していたのを筆頭に、
長年にわたって、守護神の座に君臨し続けている永瀬選手。
そんな実績に加え、カナダのオタワに留学して、腕を磨いた経験もありながら、
「今までは、感覚だけでプレーしていた」のだと言います。
しかし最近は、ビデオを見たりすることで、様々な角度からホッケーを研究。
どうやって失点を防ぐのかを考えて、アイスホッケーのGKと同様に、
「しっかりポジションをとれば、点は取られないはず」
と積極的に前に出ることを、心掛けたりするなど、レベルアップに余念がありません。
その表れは、永瀬選手が使っている用具にも見られます。
スレッジホッケーは、その名のとおり、
選手たちが、スレッジ(そり)に乗ってプレーするのですが(写真左)、
スレッジには、ホッケーシューズと違って、スケートエッジが2本があります(写真右)。
ところが、永瀬選手が使っているスレッジのエッジを、よーく見てみると、
両方のエッジの真ん中に、白い部分が…
実は、この白い部分は、プラスチックで、
こうすることによって、「横の動きがスムーズになる」ことから、
特製のスレッジを、作ってもらったのだそうです。
長野パラリンピックから11年。
日本のゴールを守り続けてきた永瀬選手の口からは、こんな言葉が飛び出してきました。
「最近になって、GKのおもしろさが分かってきました!」
もうすぐ33歳の誕生日を迎え、そろそろベテラン世代の仲間入りとなる永瀬選手ですが、
まだまだ腕を磨いていこうと、意気盛んな様子。
“レベルアップし続ける守護神” は、
銅メダルを賭けてノルウェーと戦う、今日の3位決定戦でも、
ガッチリとゴールを死守してくれるに違いありません!
〜豆知識〜
今回はGK用のスレッジを紹介しましたが、プレーヤー(FW&DF)のエッジは、もっと間隔が短く、
なかには俊敏な動きができるように、エッジが1本だけしかない選手もいるそうです。
◆photo supported by
JAPAN ICE SLEDGE HOCKEY ASSOCIATION