日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
NHLのプレーオフは、ファーストラウンドの熱戦が続いています。
先日の記事でも お伝えしましたが、7回戦制で争われるプレーオフの各ラウンドは、
レギュラーシーズンの最終順位によって、マッチアップが決まります。
レギュラーシーズンで上位だったチームは、
第1戦 と 第2戦 を、ホームアリーナからスタートすることができるのに加えて、
第5戦 と、天下分け目の最終戦(第7戦)も、ホームゲームとなるだけに、
上位チームは、大きなアドバンテージを持って、シリーズを戦えるのです。
そのことを裏付けるかのように、今季のファーストラウンドは、
8つのシリーズのうちの5つで、ホームチームが2連勝スタートを切りましたが、
それに反して、ホームアドバンテージを生かせず、連敗してしまったチームも…。
その1つが、
ワシントン キャピタルズ です。
ニューヨーク レンジャーズを、地元に迎えた
第1戦では、
第1ピリオドのチャンスを活かせず、主導権をつかめなかったことが響いてしまい、手痛い1点差負け。
すると、
ブルース ・ブードロー ヘッドコーチは、大きな動きを見せます。
ナント 続く
第2戦の先発GKに、ルーキーの
シミョン ・バーラモフ 選手を抜擢しました!
初戦こそ、21本のシュートで4失点と、振るわなかったものの、
今季のキャピタルズで、最も多くの試合を託され、
モントリオール カナディアンズや、コロラド アバランチ時代にも、
プレーオフを経験してきたキャリアを誇る
ジョゼ ・テオドア 選手は、誰もが認める守護神。
対するバーラモフ選手は、U20ロシア代表としての活躍などを評価され、
2006年のドラフトで1巡目(全体23位)指名を受けたとはいえ、まだ20歳。
テオドア選手がケガをした際に、マイナーから昇格し、
12月にデビューを飾りましたが、NHLのキャリアは、わずか6試合だけ。
キャピタルズに限らず、NHL全体を見渡しても、
カルガリー フレームスの
ミッカ ・キプラソフ 選手が、
サンノゼシャークス時代に、5試合しかキャリアがなかったにもかかわらず
プレーオフで先発したのに匹敵する “超サプライズ起用”
そんな歴史的な!(ちょっと大げさですね、、、)大抜擢をされたバーラモフ選手は、
「初めてのプレーオフなので緊張した」
という言葉とは裏腹に、24本のシュートを浴びながら、
2 on 1のピンチに決められた1点だけに抑える活躍を見せましたが、
リーグ3位の得点力を誇る自慢のオフェンスが、シャットアウトされてしまったため、
プレーオフ デビュー戦は、唯一の失点が命取りに…。
このように、まさかの地元2連敗で、ニューヨークへ乗り込むことになったキャピタルズですが、
注目されたのは、何といっても、次の試合は、どちらのGKを先発させるのか???
第2戦を終えたあとには、現地のメディアが、この話題を、しきりに取り上げていましたが、
「
NHLアイスホッケー」の中継で、解説をしている
ジェイムス ・イエローリーズ さんが、
「連敗して、敵地の試合に先発するのは、ルーキーにとって、かなり厳しいはず。
テオドア選手を第2戦で先発させなかったのは、彼を発奮させるための作戦だと思う」
と話していたように、大方の予想は、経験豊富なテオドア選手の先発復帰。
ところが! ブードロー ヘッドコーチは、
「第2戦のプレーは悪くなかった」と言って、20歳のルーキーGKを、再び先発に起用したのです。
またまた大抜擢されたバーラモフ選手は、相手チームの選手から、マスクにパンチをされる !!
といった洗礼を浴びたりしながらも、
「初先発の時のように緊張することはなかった」
と落ち着いたプレーを披露して、
第3戦では、見事 完封勝利!
試合後には、ブードロー ヘッドコーチから、
「スター選手へステップアップするための、大きな試合になった」
という賞賛の言葉が送られたほどでしたが、
バーラモフ選手のプレー以上に、圧巻だったのは、ブードロー ヘッドコーチの決断です。
経験が物を言うプレーオフでは、どうしてもベテランに頼りがちですが、
「ロシアのトップリーグのファイナルや、ジュニアの世界選手権を経験している」
と信頼して、負ければ王手をかけられてしまう試合に、ルーキーGKを送り出したのは、
まさに、アッパレな采配!
今から17季前に現役を引退し、
その翌年からスタートした、ブードロー ヘツドコーチのキャリアは、
下部リーグで好成績を残し、ステップアップしてきた “叩き上げ”。
なかでもNHLの1つ下のリーグにあたるAHLでは、
足掛け9季にわたって、3チームで指揮を執り、優勝に導いたり、
レギュラーシーズン記録を塗り替える最高勝率をマークしたりするなど、
群を抜く実績を誇り、選手時代の活躍と合わせて、
AHLのホッケー殿堂にも名を連ねているほどです。
そんな実績を買われ、昨季の開幕から2ヶ月半が過ぎた頃、
前任者を解任したキャピタルズが、ヘッドコーチに任命すると、
最下位に低迷していたチームが、グングン上昇気流に乗って、ディビジョントップに輝き、
5年ぶりのプレーオフへ。
さらに、プレーに波があると言われていた
マイク ・グリーン 選手を、主力セットで使い続け、
以前の記事でも紹介したように、NHL屈指のDFに育てあげるなど、若手選手の育成力も評価されて、
昨季の最優秀監督賞(ジャックアダムス アウォード)に選ばれました。
11年ぶりのファーストラウンド突破。さらには、悲願の初優勝へ向けて、
“最優秀監督の決断” で息を吹き返したキャピタルズの今後の戦いは、見逃すことができません!
尚、「語りべ」が実況を担当している 「
NHLアイスホッケー」では、
今週の放送で、シカゴ ブラックホークス vs カルガリー フレームスの試合を、お送りしていますが、
その他のシリーズのゲームハイライトも、たっぷり お届けします!
ブラックホークスとフレームス以外のチームを応援している方も、ぜひご覧ください !!
★本日の小ネタは…