日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
今季初めての日本への遠征を終えたチャイナドラゴンが、昨日 帰国しました。
日光アイスバックス、東北フリーブレイズと対した6連戦では、
17日の日光での試合で、ゲームウイニング ショットの末に惜敗し、
勝点1ポイントをマークしたものの、白星を手にすることはできずじまい…。
そんなチャイナドラゴンの戦いをご覧になった方は、実感されたと思いますが、
チームの中核を成すのは、やはり 6人の外国人選手たち。
前回の記事で紹介したように、彼らが揃って体調を崩し、
試合に出場できなかった 21日のフリーブレイズ戦で、0-15 という大敗を喫したことが、
皮肉にも、それを証明する形になりました。
それだけに、今後の巻き返しには、外国人選手たちの働きが不可欠ですが、
エフゲニ ・レベデフ監督の口から、残念な知らせが!
FWの
#21 アレクサンドル ・コフシク 選手が、
籍を置いている母国の大学に戻らなくてはならず、
今月いっぱいで、ベラルーシへ帰国することになったそうです。
チームを統括する ジー ・ジュンヘン 団長によると、
「中国人選手も含めて、今のところ新しい選手を加える予定はありません」
とのことなので、ベラルーシからの助っ人が顔を揃えていた第1セットは、早くも見納めに…。
DFでは、中国代表のキャプテンを務めていた、ベテランの #9 ワン ・ダハイ 選手が、
本来の所属チーム(ハルビン)のアメリカ合宿を終えて、合流する予定ですが、
逆に FWは、#11 リ ・ウェンス、#61 チェン ・リン 両選手に対して、
開幕前に戦力外通告をしたこともあり、今後は 11人で戦う見込みです。
大黒柱の #17 ドミトリー ・ドウディク 選手と並んで、
チーム最多ポイントをマークしている コフシク選手が、退団することによって、
得点力(1試合平均 1.4点)が、さらにダウンしてしまう可能性が高いだけに、
今後は、より一層のディフェンス強化が必須課題。
そうなると、大きな役割を担うことになるのは、GKの
#1 アレクセイ ・アブラモフ 選手。
19日のバックス戦で、49セーブの働きを見せたとはいえ、
ここまでの成績は、シュートブロック率は、88%。平均失点も、5.6と、
各チームのメインGKの中では、最低の数字です。
「(186cm 100kgという体格なのに) 全く大きさを感じない」 とか、
「リバウンドのコントロールができていない」
といった第一印象を、対戦した選手が話していただけでなく、
バックアップGKを務める ルーキーの #30 ハン ・ポンフェイ 選手からも、
「動きが遅いと思うよ」
とまで言われてしまうほどで、守護神と呼ぶには、程遠いプレーぶり。
「彼は、家庭の事情によって、昨季までプランクがあったので、
これから試合をするごとに、調子が上がってくるはずですよ」
とレベデフ監督は話していましたが、
アブラモフ選手は、その期待に応えることができるでしょうか?
一方、中国人選手たちに目を移すと、
新キャプテンの
#3 ジャン ・ウェイヤン 選手に、
「夏のキャンプで力をつけた」 とワン ・ベンユ コーチが名指しした、
#16 チュ ・イードン 選手と、
#18 リ ・ジエン 選手らが揃う第2セットは、
スペシャルプレーにも起用され、ここまで 5得点を記録して、オフェンス面でも貢献!
しかしながら、第3セット以降のシフトの際には、自陣での時間帯が長くなり、
4人のルーキーがいる第4セットが登場すると、防戦一方になってしまうことも、しばしば。
「ビクビクしながらやっている感じで、このレベルの試合はキツイんじゃないか…」
という声が、対戦相手から聞かれたほどで、
残念ながら、アジアリーグでプレーすることが、
現状では、身の丈に合っていない若手選手もいるようです。
このことは、レベデフ監督にとっても、見込み違いだった様子。
というのも、夏のハルビン キャンプの時には、
力不足の若手選手の代わりに、アジアリーグでのプレー経験がある選手を加えて、
開幕を迎える構想を話し、
「戦力が整えば、攻撃的なホッケーをお見せします」
との青写真を描いていました。
ところが中国協会は、2022年以降の冬季オリンピック開催を視野に入れ、
「3年から 5年くらいの間に、若い選手をレベルアップさせて、
日本の選手と、変わらない実力にすることが目標です」
とジー ・ジュンヘン 団長が、選手の入れ替えを最小限にとどめたことから、
“レベデフ構想” も方向転換。
「ウチは、7チームの中で一番弱いのだから、
ディフェンスを考えて、プレーしなさいと言われている」 (ジャン ・ウェイヤン 選手)
「守りが良くなれば、いいチームになれると教えられている」 (リ ・ジエン選手)
こんな言葉が聞かれたとおり、ディフェンス面の強化に、注力しているそうです。
このように、厳しい戦力での戦いを強いられることになったレベデフ監督は、
指導者としての胸の内を、打ち明けてくれました。
「チームとしての目標は、最下位脱出です。
それよりも、若い選手たちが成長していく姿を、皆さんにお見せしたいと思っています」
9連敗を喫した序盤戦の経験と、24日間もあるブレイク期間の練習で、
どこまでレベルアップできるのか !?
来月18日からのホームゲーム12連戦を皮切りに再開される戦いでは、
“ヤングドラゴンが成長していく姿” を、見せてくれることが期待されます。
◆special thanks to
TAMAMUSHI author of
中国ホッケー散歩