日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
昨日の記事で紹介したとおり、今季のアジアリーグは、
東北フリーブレイズ と アニャンハルラ の “両チーム優勝!” で、幕を閉じました。
最終順位の発表とともに、アジアリーグからは、
例年 優勝チームが決定したあとに表彰していた最優秀監督賞と、プレーオフMVPについては、
「該当者なし」とすることも、併せて発表されましたが、
セミファイナルの9試合だけだったとはいえ、プレーオフが開催されたとあっては、
この企画を、やらないわけにはいきません!(笑)
その企画とは、
「語りべ」通信アウォード2011 !!
既に、
前編 と
後編 の2回にわたって、
レギュラーシーズンMVP や ヤングガイ賞に、最優秀監督賞、ベスト6などを紹介しましたが、
今回は、今季の総決算として、プレーオフMVPの発表です。
セミファイナルの二つのシリーズを目の当たりにした「語りべ」が、
独断と偏見で選ぶ プレーオフMVPは、、、
東北フリーブレイズの
橋本三千雄 選手です!
アジアリーグ参戦2年目にして、初めてプレーオフに進出したフリーブレイズは、
セミファイナルで、日本製紙クレインズと対戦。
初戦こそ、7-3 のスコアで快勝しながら、
続く第2戦(2-6)、第3戦(1-2)と連敗を喫し、王手を掛けられてしまいました。
しかし、土俵際に追い詰められたところで奮起したのが、
チーム最年長の橋本選手!
第4戦は 35本。 第5戦でも 39本と、
味方が放ったより多いシュートを浴びるも、好セーブを連発。
2試合ともに、1失点に抑えて、
セミファイナルシリーズ逆転勝利の立役者になりました。
第2戦で、6点奪われてしまったとはいえ、
プレーオフでの橋本選手のスタッツは、セーブ率 92.61% 平均失点 2.57 と、
いずれもレギュラーシーズンを上回る成績。
今季のプレーオフでマスクを被った5人のGKのうち、
セーブ率、平均失点ともに、レギュラーシーズンの数字を凌ぐパフォーマンスを披露したのは、
橋本選手ただ一人です。
ところで、
前回の記事では、同じく “優勝ゴーリー” となった、
アニャンハルラの #31 オム ・ヒョンスン 選手のプレーオフへの想いを、お届けしましたが、
実は、橋本選手も、プレーオフへの強い想いを抱いて、今季を迎えました。
それは、
「もう一度、ファイナルの舞台で戦いたい」 というもの。
八戸工大一高校を卒業して、雪印に入社した橋本選手は、
今から10年前、日本リーグ時代に、一度だけファイナルの舞台に立った経験があります。
しかし、その時の橋本選手の役割は、カナダ人GKのバックアップ。
メインGKが大量失点を喫して、第2ピリオド途中から出場チャンスが巡ってきたものの、
勢いづいた相手チームの攻撃を抑えられず、19本のシュートを浴びて 5失点…。
結局、シリーズの流れを引き戻せなかった雪印は、スウィープされてしまって敗退し、
食中毒事件に始まった業績不振を理由に、
シーズン終了後の廃部が決まっていたため、
橋本選手は、5年間着続けた雪印のジャージに、別れを告げました。
その後、1シーズン限定で、雪印からの支援を受けて発足した、
クラブチームの札幌ポラリスでプレーしたあと、
移籍先が見つからず、1年半もの間、トラックドライバーとして生計を立てていた橋本選手。
ようやく日光アイスバックスから声が掛かり、再び GKとしての道を歩み始めたとはいえ、
故郷の八戸に戻って、フリーブレイズでプレーするようになった昨季まで、
ファイナルの舞台へ戻れずにいました。
それだけに橋本選手は、昨夏のキャンプで、
「ファイナルでは、いい思い出がないので、
今季の目標は、もう一度、ファイナルの舞台で戦うことです」 と宣言。
その目標を叶えるために、
「構えを変えてみようか? それとも、スタンスを狭くしてみようか?
ファイナルに進むためには、何かを変えないとダメだと思っています」
と33歳にして、さらなる進化を遂げようと、開幕してからも、様々なスタイルにトライ。
「うまく行く時もありますけれど、しっくりこない時もありますね」
と苦笑いしている姿が、何度か見られたように、
レギュラーシーズンでは、大量点を許して、途中交代を命じられた試合も…。
しかし、セミファイナル第1戦で、勝利を収めた直後の橋本選手からは、
「進化したかどうかは分かりませんけれど(笑)、
これまでやってきたことは、無駄になってないと思っています」
との言葉が聞かれました。
今、振り返ると、穏やかな口ぶりだったとはいえ、
その言葉は、内に秘められた自信の表れだったのかもしれません。
残念ながら、試合は行なわれませんでしたが、
橋本選手の活躍で、フリーブレイズはクレインズを下して、ファイナル進出を決めました。
今季のプレーオフでの活躍を見ていると、
橋本選手のプレーは、まだまだ進化を遂げていくに違いありません。
それだけに、
「もう一度、ファイナルの舞台で戦いたい」 という目標は、
自らの力で、叶えることができるはず。
プレーオフで最も輝いていた “東北の守護神” のスーパーセーブで、
「三千雄! 三千雄 !!」のコールが、アリーナに響き渡る!
そんなシーンを、また見られる日が、一日も早く来て欲しいですね !!
◆photo supported by
Nick19