日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
今夜、釧路アイスアリーナで行われた、
日本製紙クレインズ vs アニャンハルラの2回戦で、
クレインズの
ユール ・クリス 選手が、今季3得点目をゲット。
これでユール選手は、アジアリーグの通算得点を「125」と伸ばし、
通算124ゴールを記録し、3季前に引退した 伊藤雅俊 氏を抜いて、
歴代単独トップに立ちました!
ユール選手が、日本のファンの前に お目見えしたのは、1994年秋のこと。
3季後に控えた長野オリンピックへ向けた日本代表の強化策として、
日本リーグのチームに対し、日系外国人選手の獲得が認められたため、
日系3世のユール選手は、コクド(SEIBUプリンスラビッツの前身)からオファーを受け、
19歳での若さで、日本にやってきたのです。
しかし、時同じくしてコクドには、
スティーブン ・ツジウラ(元日本代表ヘッドコーチ)、
ライアン ・クワバラ(=桑原ライアン春男 元High1)両選手という、
NHLからドラフト指名された実績を誇る二人加入したため、
戦前の評価は、お世辞にも高いとは言えませんでした。
ところがユール選手は、いきなり開幕戦で、
ハットトリックにオマケまでつけて(笑)、4得点の大暴れ!
その後、後期リーグ(当時の日本リーグは前後期制)の開幕戦でも、
ハットトリックを達成するなど、ゴールを量産して、優勝の原動力になったとともに、
最優秀新人賞に輝きました。
日本リーグでは、ライバルチームのDFとして何度も対戦し、
日本代表ではチームメイトだった、王子イーグルスの 山中武司監督は、
「とにかくバランスのいい選手でしたね。
日本代表で遠征に行っても、ファーストフードばかり食べていたし、
ウエイトトレーニングも、ほとんどやらなかったのに(笑)、
試合では、チェックをされても倒れなかったのが、印象に残っています」
と当時のユール選手を評価。
その言葉どおり、ユール選手は細身の体にもかかわらず、
オリンピックや世界選手権で、日本代表のポイントゲッターとして活躍しただけでなく、
日本リーグで2年連続MVPを受賞するなど、ファンを沸かせました。
アジアリーグ最多得点記録の更新まで、
あと3ゴールと迫っていた今季の開幕戦の試合前、
たまたま話す機会があったので、
日本にやってきた年の開幕戦で、ハットトリックを達成した話をすると、
「そうだね! 今日はポジティブに行くよ。またハットトリックかもね !!」
と言って、ユール選手は思わずニッコリ。
しかし、笑顔とは裏腹に、なかなか波に乗れないチームを象徴するかのごとく、
記録更新まで、11試合も要してしまいました。
19歳で来日したユール選手も、もう36歳。
長野オリンピックの男子日本代表メンバーの中では、唯一の現役選手に。
デビュー戦を皮切りとして、
日本リーグ時代には、試合開始から、わずか5分36秒で、3得点してみせたり、
クレインズへ移籍した3季前のプレーオフでは、
ハットトリックを2回も達成して、アジアリーグの優勝に貢献したりと、
印象深い働きをしてきたユール選手ですが、
彼の代名詞ともいえるハットトリックも、昨季は一度もなし。
近年は、かつてのようなゴールラッシュは、ほとんど見られなくなってしまいました・・・。
「アルバータジュニアリーグのオールスターゲームに選ばれた時、
第1ピリオドだけで、ハットトリックを達成したんだ。
たまたまその試合を、デーブ・キングさん(長野オリンピック日本代表GM)と、
清野(せいの)勝さん(同コーチ)が見てくれていて、日本に誘ってくれたんだ」
以前、日本でプレーすることになったキッカケを、こう話していたユール選手。
この日を境に「人生が変わった」とまで言い切った、
“ハットトリックから始まったストーリー” を、
このまま終わらせてしまうわけには、いかないはず。
アジアリーグ ナンバーワンのゴールスコアラーの奮起が、期待されます。
◆photo by
Nick19