日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
11日(現地時間)から始まった NHL のプレーオフは、
カンファレンス クォーターファイナル(CQF=ファーストラウンド)が、
昨夜をもって終了しました。
CQFの結果を振り返ってみると…
4季前の王者 デトロイト レッドウイングスが、ナッシュビル プレデターズに!
3季前の王者 ピッツバーグ ペンギンズが、フィラデルフィア フライヤーズに!
一昨季の王者 シカゴ ブラックホークスが、フェニックス コヨーテスに!
そして、
ディフェンディング チャンピオンの ボストン ブルーインズも、
ワシントン キャピタルズに、それぞれ敗れてしまい、、、
ここ4年間の優勝チームが、
全て姿を消しました !!
いきなり波乱が相次ぎましたが、
なかでも、最もインパクトが大きかったのは、やはりボストンの敗戦です。
今季のボストンは、スタートダッシュこそできなかったものの、
11月に入ると好調に転じて、
全13試合で勝点をマーク(12勝1OT負け)する驚異的な成績で、上位進出を果たすと、
そのまま強さを発揮し続け、ノースイースト ディビジョンのチャンピオンに!
カンファレンス優勝こそ、ニューヨーク レンジャーズに譲ったとはいえ、
イースタンの2位で、プレーオフへ進出しました。
レギュラーシーズンの得失点差が、
全30チーム中、ナンバーワンだったことでも明らかなように、
今季も屈指のチーム力を誇るとあって
プレーオフを前に、ボストンのファンの間では、2連覇への期待が ふくらむばかり!
ところが、7位のワシントン相手に苦戦を強いられ、
長いNHLの歴史の中でも初めてとなる
7試合連続1点差ゲーム。
しかも、4試合がオーバータイムに及んだ大接戦を演じた末に、
最終戦で力尽きてしまいました…。
残念ながら、1998年のデトロイト以来となる2連覇はならなかった、ボストンに関する この数字 ↓
92 vs 132
これが何の数字か分かりますか?
正解は、
両チームのブロックショットの数
なのです。
ディフェンディング チャンピオンを倒したワシントンといえば、
キャプテンの
アレックス ・オベチキン 選手を筆頭に、オフェンス力の高いタレントが多く揃い、
一昨季には、プレジデンツ トロフィー(レギュラーシーズン第1位)を獲得!
…という圧倒的な得点力を誇っていたのも、今は昔のこと。
プレースピードがダウンしてしまったのに比例して、
主力選手のポイントも、こぞってダウン。
昨季こそ、ディフェンス重視の戦いに転じて、
カンファレンス優勝を飾ったものの、
今季は、チーム記録の開幕7連勝を飾りながら、その後は一進一退。
11月下旬には、ヘッドコーチを交代させるカンフル剤を打ちましたが、
チーム状態は上向かず、レギュラーシーズンの残りが、あと1試合となった81試合目で、
辛うじて、プレーオフのチケットを手に入れました。
そんな苦しい戦いを、ずっと続けてきたからか、
プレーオフでは、体を張ったプレーが随所に見られ、
トップDFペアの
カール ・アルズナー 選手と、
ジョン ・カールソン 選手の
「17」を筆頭に、
ワシントンは、ボストンの1.5倍のブロックショットを記録。
これまでに見られなかった、チーム一丸となっての献身的なプレーが実って、
ディフェンディング チャンピオンを倒す、アップセットを演じてみせました。
とはいえ、体を張ったプレーだけが勝因ではありません。
というのは、両チームのシュート数に注目すると、
7試合中、5試合で、ボストンがワシントンを上回り、
シリーズ合計では、ボストンが
「248」 ワシントンが
「207」
つまり、1.5倍も多くブロックショットをされたにもかかわらず、
ボストンは、ワシントン以上のシュートを、ゴールに放ち続けたのです。
そこで注目しなくてはならないのは、両チームのGK!
ボストンのGKと言えば、皆さんもご存知の
ティム ・トーマス 選手。
昨季のボストンは、プレーオフシリーズの第7戦(最終戦)を3度も制す、
NHL新記録を樹立して、スタンレーカップを勝ち取りましたが、
トーマス選手は、そのうちの2試合でシャットアウト!
史上3人目となる快挙を演じた大活躍が評価され、
コンスマイストロフィー(プレーオフMVP)を受賞しました。
一方、ワシントンのゴールを守り続けたのは、
ブレイデン ・ホルトビー 選手。
昨季のレギュラーシーズンで、初完封を達成したり、週間MVPに輝くなど、
潜在能力の高さをアピールしたとはいえ、
ホルトビー選手は、まだルーキー資格のある22歳。
今季のほとんどを、ファームチームにあたる、
AHL(アメリカンホッケーリーグ)のハーシーベアーズで、過ごしていました。
ところが、レギュラーシーズンの終盤に、
経験豊富な35歳の
トーマス ・ボクーン 選手と、
昨季のプレーオフでメインマスクを担った、
24歳の マイケル ・ノイバー 選手が、相次いで負傷。
そのため、まだAHLのプレーオフでさえ、
わずか9試合しか経験のないホルトビー選手が、
ワシントンのゴールを守ることになったのです。
そんな二人のGKに関する、この数字 ↓
9割2分3厘 vs 9割4分
これが何の数字か分かりますか?
正解は、
プレーオフでのセーブ率
なのです。
9割2分3厘と、トーマス選手も高い数字を残しましたが、
NHLのオフィシャルホームページで紹介された、
「ボストンが敗れた5つの理由」の中に数えられてしまったように、
神かがりなセーブを連発した昨季(セーブ率9割4分)に比べると、やや物足りなさも…。
それに対して、ホルトビー選手は、
プレーオフ初マスクとなった第1戦で、OTの末に 0-1 で惜敗してしまったとはいえ、
35セーブをマークする獅子奮迅の働き。
ゲームウイニングゴールを決められた
クリス ・ケリー 選手に、
「間違いなく、彼は有能なGKだ」
と言わせたほどのプレーオフデビューを飾りました。
さらに、3勝3敗で迎えた第7戦を前にして、
ボストンのキャプテンの
ズデノ ・チャラ 選手が、
「我々は、第7戦の戦い方を熟知している」
という自信に満ちた言葉が聞かれたとおり、大方の予想は、ボストン勝利。
そんな中、ホルトビー選手は、メディアからの取材に対し、
「第7戦を楽しみたい」
と公言して、トーマス選手に引けを取らない大物ぶり(!?)を漂わせていましたが、
天下分け目の試合で、トーマス選手を上回るプレーを披露!
史上初の “7試合連続1点差ゲーム” という手に汗握る大接戦を制したのは、
ホルトビー選手の働きを、評価しなくてはならないですね。
最後にもう一つ、こんな数字 ↓ を紹介しましょう。
500万ドル vs 55万ドル
これが何の数字か分かりますか?
正解は、
二人のGKの年俸
なのです。
これまでのキャリアや年齢を見れば、当然の差かも知れませんけれど、
今季のトーマス選手の年俸が、およそ
「4億円」なのに対して、
ホルトビー選手は、
「4400万円」 (1USドル=80円で紹介しています)
しかし、CQFのプレーぶりを見る限り、
4400万円のGKのほうが、4億円の選手よりも、いい仕事をしたようですね(笑)
今季の最初の記事でご覧いただいたゴーリーマスクに引き続いて、
新たなシーズンを迎えるにあたって新調したマスクにも、
「改善」 の文字を記したホルトビー選手。
次なる
カンファレンス セミファイナル(CSF)で対戦するのは、
ヘンリク ・ランドクウィスト 選手がゴールを守るレンジャーズ。
ディフェンディング チャンピオンを倒したあとにも、満足することなく、
自らのモットーどおり、プレーを「改善」し、
さらなる活躍を期する言葉を口にしたホルトビー選手が、
年俸
「6,875,000ドル」(約5億5000万円)の守護神と対峙して、
どのようなプレーを見せてくれるのか、今から楽しみなところ。
両者の対戦に先駆けて、
フェニックス コヨーテス 対 ナッシュビル プレデタースのシリーズを皮切りに、
今夜から、CSFがスタートします!