日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
NHLのレギュラーシーズンは、
先週末(現地時間)をもって、全日程を終了。
イースタン カンファレンスに続いて、
ウエスタン カンファレンスでも、
デトロイト レッドウイングスと、ミネソタ ワイルドが、最終戦で勝利を収め、
プレーオフを戦う16チーム(上位8チームずつ)が決定。
早速、レギュラーシーズンの終了直後には、
NHL専門テレビ局の生放送を通じて、
カンファレンス クォーターファイナル(CQF)のゲームスケジュールが、発表されました。
今夜、スタンレーカップを目指す戦いの幕が、切って落とされるのを前に、
現地のメディアでは、プレーオフのプレビューが報じられていますが、
前評判が高いのは、レギュラーシーズンで、ともにNHL新記録を打ち立てた、
シカゴ ブラックホークス と
ピッツバーグ ペンギンズ
まず、ウエスタン カンファレンスのチャンピオンに輝いた、
今季の
シカゴ のハイライトは、
驚異的なスタートダッシュ!
ロックアウトが長引き、レギュラーシーズンが短くなったため、
戦前から「スタートダッシュ」の重要性が、問われていましたが、
今季のシカゴのスタートは、まさしく圧巻。
1ヶ月半もの間、レギュレーションタイムでの負けがなく、
「開幕から24試合連続ポイント」 の新記録を達成しました!
レギュラーシーズンの半分にあたる、24試合で積み重ねた勝点は、
3つのOT(&シュートアウト)負けを含めて、
「45ポイント」
この数字は、ウエスタンの12位に終わった エドモントン オイラーズが、
シーズンを通じて上げた勝点と同じ。
13位以下の カルガリー フレームス、ナッシュピル プレデターズ、
そして最下位の コロラド アパランチ に至っては、
フルシーズン戦っても、シカゴの勝点に届かなかった・・・
という事実を見ると、どれだけスゴかったのかが、分かりますよね。
その後も、確実に白星をマークしていったシカゴは、
ウエスタン カンファレンスのタイトルだけにとどまらず、
全30チーム中、ナンバーワンのポイントをマークして、
22年ぶりの プレジデンツ トロフィー を獲得!
各部門の成績を見ても、
パワープレーの得点率こそ19位で、イマイチだったものの、
1試合の平均得点「3.1」は、ウエスタンでトップ(リーグ2位)と、
得点力で他のチームを圧倒。
しかし、それにも増して際立っていたのは、ディフェンス面でした。
平均失点「2.0」は、
30チームの中で最少。
そして、
ペナルティキリングの防御率「87.2%」も、
ウエスタンの中で最高の成績で、
リーグトップのオタワ セネターズ(88.0%)や、
トロント メイプルリーフス(87.9%)と比べても、僅差だったことが示すとおり、
堅実な守りが光っていました。
今季のシカゴの戦いぶりは、DFはもちろん、
キャプテンの
ジョナサン ・テイズ 選手を筆頭に、FWも守りへの意識が高く、
1試合あたりの被シュート数は、
リーグで4番目に少ない「26.2本」
さらに、たとえシュートを打たれても、
どちらも
セーブ率9割2分以上、
平均失点1点台の好成績を残し、
ウィリアム ・ジェニングストロフィーの受賞が決まった、
コーリー ・クロフォード、
レイ ・エムリー の両GKが控えていたとあっては、
まさに磐石の陣容!
セカンドラインのCF
デーブ ・ボーランド 選手とともに、
エムリー選手は、負傷のために欠場が見込まれますが、
エースGKのクロフォード選手は、順調に調整を続けて、今夜の第1戦に備えているとあって、
シカゴに死角はなさそうです。
一方、イースタンのチャンピオンになった
ピッツバーグ も、
序盤から確実にポイントを積み重ねていきましたが、見逃せないのは、
3月の成績。
ナント! 3つのOT勝ちを含め、
「15戦全勝」
開幕当初や、レギュラーシーズン終盤のように、試合数が少ない時期を除き、
1ヶ月間に10試合以上スケジュールされていた中では、
NHL史上初めての
「月間全勝」 を達成しました!
そうは言っても、順風満帆だったわけではなく、
連勝が始まった3月序盤には、
昨季のMVP エフゲニ ・モルキン 選手が
負傷。
ようやく月末に復帰したかと思ったら、
翌試合で、今度はキャプテンの
シドニー ・クロスビー 選手が、、、
チームメイトの
シュートを顔に受けて退場。
さらに、タレントが多いピッツバーグの中でも、屈指のポイントゲッターとして知られる、
ジェイムス ・ニール 選手まで、4月に入ってから
脳震盪を発症。
他にも4月は、
クリス ・ルタング、
ポール ・マーティン、
ブルックス ・オーピック 各選手と、
DFも主力クラスが、
次々と戦列を離れてしまいました。
ところが! このような緊急事態を、まるで予期していたかのように、
レイ ・シェロ GMは、シーズン3月末から、4月3日のデッドラインを前に、、、
サンノゼ シャークスから、大型DFの
ダグ ・マリー 選手を。
カロライナ ハリケーンズから、オフェンスのスキルに長けた
ユッシ ・ヨキネン 選手を。
さらに、ダラス スターズからは、キャプテンの
ブレンダン ・モロー 選手を、
次々とトレードで獲得!
これだけでも、他のチームからは、ため息が聞こえてきそうですが、
もう一人、ピッツバーグは “超大物” を獲得しています。
その大物とは、、、
ジャローム イギンラ 選手!
2003年からカルガリーのキャプテンを担い続け、
名実ともに “ミスター・フレームス” だったイギンラ選手は、
2004年の「ワールドカップ」や、2010年の「バンクーバー オリンピック」でも、
FWの大黒柱として、カナダの金メダル獲得に貢献。
しかしながらNHLでは、得点王に2度輝いた実績を誇る一方で、
キャプテンになった年に、一度だけファイナルまで勝ち進んだものの、
未だにスタンレーカップを手にすることは、できずじまい・・・。
そのため、数年前から、トレードのデッドラインが迫ってくると、
「優勝を狙えるチームに、移籍するのでは?」
とのウワサが聞かれていましたが、
35歳になった今季、とうとうカルガリーを離れることに!
ボストン ブルーインズとの争奪戦を制したピッツバーグが、
今年のドラフト1位指名権 + 若手FW2選手 とのトレードを、成立させたのです。
ピッツバーグにとって、待望久しい「得点力のあるライトハンドのFW」で、
なおかつ「リーダーシップのあるベテラン」の加入は、
4季前に、3度目の優勝を飾ったシーズンの終盤に、
ニューヨーク アイランダーズのキャプテンだった ビル ・ゲリン 選手を、
トレードで獲得した時の再来だ!
こんな声が聞こえるほど、
移籍決定直後から、ピッツバーグ ファンの期待は、ふくらむ一方 !!
当のイギンラ選手も、大きな期待に応えるべく、
慣れ親しんだカルガリーの自宅を売りに出し、
ピッツバーグで、スタンレーカップに名前を刻もうと意気揚々。
4試合連続ゴールを含め、
移籍後の13試合で11ポイントと、
しっかり存在をアピールして、プレーオフに臨みます。
イギンラ選手の活躍に触発されたのか、
ヨキネン選手が、
10試合で11ポイント。
モロー選手も、
15試合で14ポイント をマークしたピッツバーグは、
イースタンのトップでフィニッシュ。
FWを中心に主力選手が、次々と戦列を離れたにもかかわらず、
レイ ・シェロGMが企てた、複数の大型トレードの効果によって、
攻撃力が落ち込むことなく、
リーグトップ の
平均得点「3.4」
さらに、
リーグ2位 の
パワープレー成功率「24.7%」 の数字を残しました。
このように好材料が多いところへ、
レギュラーシーズン最終戦で、ニール選手が復帰を飾り、いきなりハットトリック!
さらに、クロスビー選手も練習を再開し、「復帰間近」との報道が !!
そして、CQFでは、
ここ数年来、ずっと大きく勝ち越して、
今季も5勝1敗と “お得意さま” にしている、
8位のアイランダーズが相手とあって、
ピッツバーグのファンの視線は、もう次のラウンドへ向いているのかも !?
両チームの戦いぶりを紹介していると、
今季のスタンレーカップファイナルは、
レギュラーシーズンで、カンファレンス チャンピオンに輝いた、
シカゴ ブラックホークス 対
ピッツバーグ ペンギンズ
に決まり! という気がしてきますよねぇ。。。
しかしそれは、ファンだけではない模様。
前述のNHL専門テレビ局で、コメンテーターを務めている、
マイク ・ジョンソン、
ケビン ・ウィークス 両氏も、
プレーオフのプレビュー番組の中で、このような予想を披露しました。
どこから見ても! 誰が見ても !! シカゴとピッツバーグがガチガチの大本命 !!!
だと思えてならない方が、多いかもしれませんけれど(苦笑)
決して見逃すわけにはいかない、こんなデータがあるのを、ご存知ですか?
そのデータとは、、、
前回のロックアウト以降、昨季までの7年間で、
スタンレーカップ ファイナルに勝ち上がった 「14チーム」 のうち、
レギュラーシーズンの カンファレンス チャンピオン は、
わずかに 「2チーム」 だけ!
なのです。
振り返れば、昨季のファイナルも、
ウエスタン8位のロサンゼルス キングスと、
イースタン6位のニュージャージー デビルスの顔合わせでしたが、
シーズンキャンセルになった2004-2005シーズンのロックアウト以降、
NHLには
サラリーキャップ制度が導入されました。
その影響から、スター選手を根こそぎ集めて、
ずっと抱え続けることは困難になったのも手伝って、
近年のNHLでは、2連覇をしたチームがないだけでなく、
同じ年に、レギュラーシーズンとプレーオフを制したチームは、
5季前のデトロイトだけしかないのです!
「長丁場のレギュラーシーズンと、短期決戦のプレーオフは別物」
NHLに限らず、このような言葉を、よく耳にしますが、
ロックアウトの影響で、例年ほどの長丁場ではなかった今季のレギュラーシーズンで、
カンファレンス チャンピオンに輝いたシカゴと、ピッツバーグは、
どこまで強さを発揮し続けられるのでしょうか?
今夜から始まるプレーオフの戦いを、見逃すことができませんね!
<追記>
こちらの記事をアップしたあとに、
NHLのオフィシャルサイトに、前述の2氏も含めた16人の予想が掲載されましたが、、、
やっぱり「大本命」に変わりはないようです。。。