日本全国津々浦々のホッケーファンの皆さん、こんにちは。
レギュラー シーズンを勝ち抜いた16チームによる、NHLのプレーオフは、
昨夜(現地時間)の試合をもって、
カンファレンス クォーターファイナル(CQF=ファーストラウンド)が終了。
早速、
カンファレンス セミファイナル(CSF)のスケジュールが発表され、
今夜からは、セカンドラウンドに突入します!
CQFの戦いを振り返ると、
レギュラーシーズンでの強さから、“大本命” と目されていた、
シカゴ ブラックホークス と、ピッツバーグ ペンギンズ の、
カンファレンス チャンピオンは、揃ってCSFに進出。
しかし一方で、ディビジョン優勝を飾り、2位と3位にシードされた、
東西両カンファレンスの計4チームは、いずれも敗退したのを含め、
下位チームが、上位チームを倒す
アップセット が、
「8つ」のシリーズ のうち、
「5つ」 と、波乱の多いCQFになりました。
このように、アップセット勝利を飾ったチームが目立った中で注目したいのは、
デトロイト レッドウイングス の戦いです!
NHLの創設期から、歴史を積み重ねてきたデトロイトは、
3度の連覇を含め、11回もの優勝を飾るとともに、
数多くの名選手が在籍してきた、誰もが一目を置く “名門チーム”
ところが、今季のレギュラーシーズンでは、5連敗を喫するなど、
これまでの強さが影を潜め、
ウエスタン カンファレンスの全日程が終了する3日前(の試合開始)には、
プレーオフ圏外(9位)に位置し、ファンをヤキモキさせていました。
レギュラーシーズンの最終日で勝利を収め、
北米4大スポーツ界で、現在の最長記録を更新する、
「22年連続プレーオフ進出」こそ、どうにか決めたものの(7位)、
プレーオフへ向けての前評判は、大半のメディアが芳しくない評価。
その要因に挙げられていたのは、
プレーオフの修羅場を経験してきた選手の多くが、チームを離れてしまったこと!
特にDFは、昨年のオフだけに限っても、
“世界一のDF” と呼ばれ、キャプテンも担っていた、
大黒柱の ニクラス ・リドストローム 選手が引退・・・。
サラリーキャップとの兼ね合いから、再契約は困難だと判断して、
主力セットの一員だった
ブラッド ・スチュワート 選手を、サンノゼ シャークスへトレード・・・
(サラリーキャップ制度の概要については、
こちらの記事 をご覧ください)
といったチーム事情から、今季のレギュラーシーズンでは、
数字に表れない守りのミスから、試合の主導権を手放してしまう、
デトロイトらしからぬシーンを、目の当たりにすることも。。。
それを表していたのが、この数字 ↓
勝率 6割4分
これが何の数字か分かりますか?
正解は、、、
なのです。
今季のデトロイトのレギュラーシーズンでの成績は、
24勝24敗(8OT負けを含む)で、
勝率5割 だったため、
先制点を奪った試合で、勝率 6割4分 というのは、一見すると好成績のようですが・・・、
NHL30チームの中では、
「23位」
2008年、2009年と、2年続けてファイナルに勝ち上がった際は、
「勝率8割6分(リーグ1位)」 に続いて、
翌年も
「8割4厘(リーグ2位)」 を記録していたとあって、
物足りない成績なのは否めません。
しかも、7季前に
マイク ・バブコック ヘッドコーチ(HC)が就任して以来、
先制点を奪った試合の勝率は、
今季が最低。
このような背景があった上に、CQFの対戦相手は、
パシフィック ディビジョンでトップになった、アナハイム ダックス。
元得点王の
コーリー ・ペリー 選手や、キャプテンの
ライアン ・ゲツラフ 選手。
さらに、
42歳にして健在ぶりを発揮している ティム ・セラニ 選手 など役者が揃い、
ウエスタンで2番目の得点力を誇るチームとの顔合わせでは、
前評判が芳しくないのも、納得してしまいますよねぇ(苦笑)
その上、もう一つ今季のデトロイトに関する 、この数字 ↓
3人
これが何の数字か分かりますか?
正解は、、、
CQF初戦に出場したDF6選手の中で、
プレーオフの出場経験がない選手の数
なのです。
DFの半数は、プレーオフが初めてだなんて、
「22年連続プレーオフ出場中」のチームなのに、あり得ないですよねぇ(苦笑)
しかし! この数字は、紛れもない事実で、
しかも! この事実は、DFだけに限りません。
前述したとおり、デトロイトは、
5季前に優勝したのに続いて、
翌年にもファイナルまで勝ち進みましたが、
ディフェンディング チャンピオンとして臨んだ、
4季前のCQF初戦と、
今季の初戦にベンチ入りした登録20選手を比べてみると、、、
<プレーオフ未経験選手の数>
<全選手のプレーオフ合計出場試合数>
<全選手のスタンレーカップ合計獲得回数>
4季前には、先ほど紹介した 前キャプテンの
リドストローム選手や、
トーマス ・ホルムストローム、
カーク ・モルトビー 両FWという、
スタンレーカップに、4つも名前が刻まれている選手たちを筆頭に、
GKは
クリス ・オズグッド 選手。
DFにも、
ブライアン ・ラフォルスキ 選手(ともに優勝3回)と、
守りの核になる経験豊富な選手がズラリ。
しかし、引退や、
サラリーキャップの上限をにらみ、
契約を延長できなかった選手らが、デトロイトを離れてしまい、
わずか4年の間に、顔ぶれが一変。
そのため、プレーオフの修羅場を何度も経験し、
美酒を味わった選手たちが、少なくなってしまったのです。
それにもかかわらず、デトロイトは、オーバータイムでの3勝も含め、
全て1点差の白星を4つ積み重ねて、アナハイムに勝利!
先に王手を掛けられながら、第6戦、第7戦に連勝したあと、
バブコックHCから、最大限の賛辞を送られた人がいました。
それは、、、
ヘンリク ・ゼッターバーグ 選手です!
今季から、新キャプテンに就任した ゼッターバーグ 選手は、
あとのない第6戦のオーバータイムで、値千金の決勝ゴール。
続く第7戦では、貴重な先制ゴールをゲットして、
2試合続けて、ファーストスターに選ばれましたが、
バブコックHCが称えたのは、何よりもゼッターバーグ選手の存在でした。
「彼はやらなくてはならないプレーを知っている。リンク上のコーチだ」
指揮官の言葉が示すように、
たとえ、プレーオフの修羅場を何度も経験し、
美酒を味わった選手たちが、少なくなってしまっても、
名門チームが積み重ねてきた財産は、しっかり受け継がれているようですね。
デトロイトの次なる相手は、
レギュラーシーズンでトップの成績を残して、
プレジデンツ トロフィーを勝ち取ったシカゴ。
同じディビジョンのライバルながら、今季は4戦全敗の相手にもかかわらず、
「シカゴとの対戦を楽しみにしている」
とゼッターバーグ選手はキッパリ。
「シカゴ vs デトロイト」だけでなく、
8チームが挑む “セカンドラウンド” の各シリーズは、激しい戦いになりそうです。